月夜に浮かび上がる県立芸術劇場。ライトアップされた樹木が調和し、幻想的な光景が広がる。照明が音符と化し、リズムを奏でているようだ

本県文化の発信拠点、四季折々の自然と融合

 図書館、美術館、芸術劇場(メディキット県民文化センター)を備える県総合文化公園(宮崎市船塚3丁目)は、本県の文化拠点であり県民の憩いの場だ。春はソメイヨシノやツツジ、秋は黄葉するイチョウなど四季折々の自然と近代建築の融合が楽しめる。

 建設省(現国土交通省)は1998年、「公共建築百選」に選定。地域社会に根ざし、地域貢献度の高い公共施設と評価している。

 同公園の建設は83(昭和58)年の置県百年記念事業の一つ。当時の松形祐尭知事が県民の豊かな暮らしや主体的な文化活動を支援しようと、宮崎大学農学部跡地16・5ヘクタールに文化施設の整備を提唱した。

 5年後、図書館が開館。その後、芸術劇場と美術館が完成し、計画開始から12年の歳月を経て、本県の文化発信基地が出来上がった。現在、図書館は66万冊の収蔵数を誇り、年間利用者総数は延べ56万人(2009年度)を超える。宮崎国際音楽祭会場になる芸術劇場は全国的に知られており、美術館も多彩な芸術イベントを開き、国内外の文化交流の場として存在感は大きい。

 そんな文化と緑が薫る公園には人々が自然と集まってくる。子どもたちが駆け回り、大人たちが会話や散歩を楽しむ。犬の散歩で朝夕訪れる近くの会社員河崎良子さん(49)は「建物と自然が調和して素晴らしい場所」とお気に入りだ。芸術劇場の設計に携わった前田設計(宮崎市)の前田暢俊社長(73)は「まだできていなかった美術館との配置バランスに頭を悩ませた」と回想。「音響設備に優れたホールを備えており、もっと県民に活用してもらいたい」と願っている。

【メモ】公園内には本県先覚者の小村寿太郎、石井十次、安井息軒、高木兼寛、若山牧水、川越進の銅像6体が点在する。宮崎大学農学部の歴史を記した「跡地の碑」とともに門柱一つが残されている。