落石注意を促す看板。近年、登山道は整備が進んだが、それでも危険個所が見られる

岩壁に降り注ぐ水のカーテン

 天空の蛇口から水しぶきが噴き出している。まるでトリックアートのように―。延岡市北西部にある行縢の滝は、そんな不思議な感覚に浸れる名滝だ。

 滝は祖母傾国定公園内の名峰、行縢山(831メートル)の雄岳、雌岳の間から流れ落ちる。高さ77メートル、幅30メートルの岩壁に水のレースカーテンを描き、雄大な景観を生み出している。

 延岡市中心部から車で30分足らず。自然を身近に感じられることから、市民の憩いの場として親しまれる。1990年、緑の文明学会などが主催する日本の滝選考会が「日本の滝百選」に選定。全国各地から観光客が訪れる。

 県むかばき青少年自然の家は子どもたちの研修に活用。案内役を務める森田司課長(62)は「登山道が整備され、安心して自然と触れ合える。子どもたちは滝を間近にし大はしゃぎです」と目を細める。

 絶好の観察ポイントは登山道沿いにある滝見橋。原生林の中に突然、岩山とともに滝が浮かび上がって見える。霧雨が森に漂い、清涼感に心が癒やされるようだ。それが雨期には一変、ごう音を響かせ荒れ狂う竜に化けるという。

 「雨の翌日、朝日に光り輝く姿は圧巻よ」と近くの自営業川崎義治さん(60)。近年、登山客が増えており「皆さん、この滝の威容さに驚かれる。もっと多くの人に知ってもらいたい」と誇らしげに話す。

 地域住民は、古くから田畑を潤し、地域を見守ってきた滝に感謝の念を抱く。登山口に立つ行縢神社はご神体として祭る。神が宿る滝のしぶきを浴び、自然と人とのきずなの深さに感じ入った。(写真部・木上友貴)

【メモ】国道218号北方延岡道路「舞野IC」から車で約15分。行縢山登山口から約1時間。県むかばき青少年自然の家は自然を楽しむ各種イベントを開催。TEL0982(38)0272