海水と淡水がバランスよく混ざり、シジミの漁場に適した八重川河口付近。3月1日から漁が始まり、鋤簾を引く手に力が入る。

シジミ求め 水ぬるむ川に

 寒さが和らぎ春の訪れとともに、宮崎市の大淀川に注ぐ八重川などでシジミ漁が始まった。以前は大勢の市民らがシジミ採り大会などに興じていたが、すっかりそんな光景を見かけなくなった。シジミ漁は環境の変化に影響を受けやすく、漁師らは漁獲量安定に向け試行錯誤を続けている。

 同市の宮崎内水面漁業協同組合(緒方逸夫代表理事組合長)では現在28人が許可証を持ち、八重川と山内川で1日1人10キロまでの制限で採り、昨年は1・3トンを水揚げした。乱獲を防ぐため、漁期は3〜5月と7〜11月の週4日と定めるが、不漁の際は短縮することもある。放流はそれぞれの休漁前に実施。雨量や水温を見ながら、両河川以外でも試験的に稚貝をまくなど、漁場拡大に力を尽くす。

 漁ができるのは干潮前後の1時間半、1日3時間だけ。胴長をはいた漁師たちは鋤簾(じょれん)と呼ばれる道具を手に次々と川に入る。鋤簾は約3メートルの竹ざおの先に籠網を取り付けたもので、水に沈め、じわじわと後退する。川底を砂泥ごとさらい、数メートルから十数メートル引いた後、シジミをより分ける。

 シジミは海水と淡水が混ざる汽水域で採れるが、塩分濃度や水温が適さないと死滅するとされる。2000年代に入ると、同組合は大淀川での水揚げが激減したことを憂慮。前組合長の故別宮義照さんの提案で同川以外の漁場を開拓するため、八重、山内川でも放流をはじめた。

 他にも県内では、延岡市の北川や五ケ瀬川、新富町の一ツ瀬川などの河口で水揚げされるが、関係者は口をそろえ近年の不漁を訴える。採れない年は3時間目いっぱい歩き回っても2キロに満たない場合もあったという。

 義照さんの次男で同組合理事の義光さん(62)は「昨年、一昨年と不漁だったが今年は期待できる」と、徐々に見え始めた放流の成果を実感している様子だった。

【メモ】 市場で流通しているシジミのほとんどがヤマトシジミ。シジミの旬は夏で、「土用シジミは腹薬」と言われるほどタウリンやオルニチン、ビタミンB12を多く含み、滋養強壮に効果があるとされる。他にも、初夏の産卵に向けて十分な栄養を蓄える春先が最もおいしいとするなど旬の時季には諸説ある。