田んぼ一面を薄紫色に彩るレンゲ畑。栽培する農家も年々減り「懐かしの風景」になりつつある。

春の田園染める薄紫色

 一面に広がる薄紫色のじゅうたん-。春を代表する田園風景だったレンゲ畑を、かつてほど見掛けなくなった。高鍋町上江、南高鍋にまたがる「四季彩のむら」(坂本幸村長、13戸)は、昭和30年代の農村の景観を取り戻す取り組みを始めて13年。町と連携し、棚田の石垣修復や色彩豊かなレンゲや菜の花、ソバを植え付けている。現在、普通期水稲の田植えを控えた田んぼではレンゲが風に揺れ、散策する人の目を楽しませている。

 畑にすき込むことで緑肥になるレンゲは、田畑の地力回復を狙い古くから栽培されてきた。しかし、近年は化学肥料の普及により徐々に姿を消した。また、本県では温暖な沿海地帯を中心に早期水稲が行われるようになったことから、目にする機会がますます減った。

 レンゲ畑に入ると「ブーン」と響くミツバチの羽音に気付く。養蜂もレンゲとは切り離せない関係だ。旧東諸3町でれんげ蜜を採取する宮崎市高岡町の養蜂家西澤康全さん(71)はレンゲ畑の減少を受け、現在は休耕田を持つ農家に種を持ち込み栽培を依頼する。西澤さんは「最盛期の昭和30〜40年代の採取量は一斗缶(約18リットル)で千缶ほど。昨年はたったの84缶、もはや希少品になった」と肩を落とす。害虫タコゾウムシによる被害もレンゲ減少に拍車を掛け「温暖化の影響か今年は大量発生しており、蜜を吹く前に食べ尽くされることも。レンゲを守ることは大切な日本の味を守ることにもつながる」と保全策を模索する。

 飼料用稲の畑20アールにレンゲを植えている四季彩のむらの井上昭一さん(69)は「手間は掛かるが、来訪者が花に見入る姿を見掛けたり『きれいですね』と声を掛けられたりすると残すべき農の風景なんだと実感する」と力を込めた。

【メモ】四季彩のむらの棚田は、高鍋町上江の「美食温泉めいりんの湯」東側。レンゲ畑は黄金週間を過ぎてすき込まれる。今年はタコゾウムシの食害がひどく、レンゲ畑の規模は少ない。周辺には高鍋湿原もあり、ハッチョウトンボやキイトトンボなどが飛び始めている。高鍋町観光協会(電話)0983(22)5588。