ホーム 宮崎県知事選挙2018 県知事選 関連記事

託す思い<5>

2018年12月19日

人材確保と育成急務 働く環境 整備進めて

【地域包括ケアを推進する/牛谷 義秀さん(宮崎市)】

 団塊の世代が75歳以上となり、医療や介護の需要が高まる「2025年問題」。社会保障費の増大や病床数の不足などの課題が指摘される中、国は高齢者が地域で最期まで暮らせるよう医療、介護、生活支援などの各分野が連携して支援する地域包括ケアシステムの構築を目指している。

 「国が言うからではなく、現場で働く立場から地域包括ケアは本県でも不可欠」。宮崎市の医師で、同市郡医師会理事も務める牛谷義秀さん(59)は強調する。本県でも25年には75歳以上が20万人を超え、人口に占める割合は約20%に上る見込みだ。牛谷さんは「『終末期を自宅で過ごしたい』と希望する患者は多く、体が弱り通院できなくなる高齢者も今後さらに増える」と地域包括ケアの必要性を説く。

   □     ■

 都城市山田町出身の牛谷さんは、昔から「じいちゃん、ばあちゃんと向き合う仕事をしたい」との思いが強かった。防衛医大卒業後は東京都の救急病院などで経験を積み、1998年に宮崎市で開院。通常の診療に加え、患者の自宅などへの訪問診療も始めたほか、グループホームなどの福祉施設も開所。国の方針に先駆けて、医療と介護の連携へ足元から取り組んできた。

 2009年には医療や介護などの多職種が連携する「宮崎キュアケアネットワーク」を立ち上げ、在宅医療の質の向上や普及啓発へ活動を続けてきた。昨年4月には宮崎市内を中心とした医師約150人で「宮崎市郡在宅医会」を設立。地域への理解も進み「地域包括ケアへの意識が醸成されつつある」と感じている。

   □     ■

 牛谷さんは今後を見据え「人材確保と育成が急務」と断言する。県も課題として捉え、14年度から国が3分の2、県が3分の1を拠出する「地域医療介護総合確保基金」を活用し、医療や介護分野の人材確保へ研修会や職場体験会などを開催している。

 ただ、厳しい現状もある。例えばケアプランの作成などを行うケアマネジャーについて牛谷さんは「医療と福祉をつなぐ重要な職種」としながらも、「県内の登録者約6700人のうち実働しているのは2千人ほどではないか。業務量が膨大にもかかわらず、給与面などの待遇があまり良くないことが影響しているとみられる」と説明する。

 牛谷さんは高齢者や患者の心に寄り添い、本人やその家族が満足する最期を迎えた時に仕事のやりがいを感じるという。「ケアマネジャーら現場で働く人が仕事に魅力と誇りを感じられるよう、行政には業務の効率化や待遇面の改善など働く環境の整備にも取り組んでほしい」と求める。

=おわり=

【写真】約1年前に脳梗塞を患い、体が不自由になった男性を診察する牛谷さん(中央)=宮崎市加江田

特集TOPに戻る