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地域の課題・県央/障害者医療費助成制度

2018年12月18日

立て替え払い 負担に

 「お金が足りず、支払いを待ってもらう時もある」。脳性まひで思うように体を動かすことができず、歩行器や電動車いすを使って暮らす宮崎市の菊永基次さん(64)は、整形外科など四つの病院に通っている。通院時に窓口で払う医療費は多い時で月約3万円。公的な助成は受けられるが、病院で申請し、翌月以降に市から支給される「償還払い」方式のため、通院のたび立て替えを強いられる。

 「言語障害もあり、初めて行く病院では緊張して言葉がすらすら出ない」(菊永さん)ために、申請の手続きに戸惑うことも。「困っているのは自分1人ではない。一日も早く、制度を変えてほしい」と切実だ。

 県の「重度障がい者(児)医療費公費負担制度」は、1975(昭和50)年度に開始。実施主体の市町村と、県が2分の1ずつ補助し、自己負担を月千円に抑える制度だ。2017年度の県内の助成対象者は約2万7千人で、県の負担額は約10億7千万円。対象者の4割を宮崎市が占める。

 県によると、31都道府県では窓口での立て替え払いが不要な制度を導入。本県は入院のみ立て替え不要だが、通院は制度開始当初から償還払いのため、受給者は窓口でいったん全額の立て替えが必要。同市の場合は、病院で申請書を提出するか、領収書を市に提出すると、1、2カ月後に自己負担分を引いた額が受給者に戻る。

 市障がい福祉課によると、17年度の同市への助成申請は約19万件で、月に1万5千件を扱う。手続きの負担もあることから、少額では申請していない人や、受診をためらうケースもあるとみられ、同市は今年8月、当事者団体の声などを受けて県に制度改正を要望した。

 今年11月には、県内の障害者らでつくる団体が、約1万人の署名とともに県議会に制度改正を求める請願を提出、11月定例会で採択された。

 県障がい福祉課によると、過去や他県の事例から、立て替え不要の制度を導入すると医療費は2~5割増えるとみられ、同課は「市町村との合意形成も必要。財源確保を含め一つ一つの課題を整理したい」としている。

 市障がい者施策推進協議会会長で、宮崎公立大の辻利則教授(メディアコミュニケーション)は「障害のある人が生活する上で医療は切り離せないもの。そこに不便があり、生きづらくさせているのは良くない」と指摘。その上で「(申請して初めて制度を利用できる)申請主義では、必要としている人に情報が届きにくく、制度はあるのに活用できない事態を招きやすい。自身で発言するのが難しい障害者も多い中で上がってきた切実な声を県はしっかりと受け止め、主導して応えるべきだ」と提言する。

【写真】四つの病院に通う菊永さん。県の障害者医療費助成制度の見直しを望んでいる

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