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託す思い<3>

2018年12月17日

建て替え補助充実を 施設園芸の衰退危惧

【ハウス老朽化問題を訴える/網代 宗章さん(川南町)】

 ビニールが吹き飛ばされて骨組みだけになったハウス、地面に散乱する手塩にかけた千株分のピーマン-。台風24号が最接近した9月末、川南町平田のピーマン農家、網代宗章(あじろむねあき)さん(66)は変わり果てた農場の光景に肩を落とした。

 網代さんの農場に立つ17棟のハウスのうち、7棟は風速25メートルまでしか耐えられない耐用年数8年の「APハウス」。1999年に知人から譲り受けて設置し、更新すべき時期を20年以上すぎていた。

 7棟のAPハウスのうち、3棟のピーマンは全滅。出荷は中断し、千株の苗を植え直した。「ハウスが全壊した農家もいる。本来は建て替えるべきだが、とてもそんな経済的余裕はない」。網代さんは、力なくつぶやいた。

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 マンゴーやピーマンなど、本県の農業産出額3562億円(2016年)の約3割を占める野菜、果樹、花卉(かき)の大半は施設園芸で生産される。畜産に継ぐ本県農業の“屋台骨”だが、その足元は今、大きく揺らいでいる。

 県農産園芸課によると、県内の主なビニールハウスは、APハウスとそれぞれ風速35メートル、50メートルまで耐えられる中期展張ハウス(耐用年数14年)、低コスト耐候性ハウス(同)の3種類。中でも、最もコストの低いAPハウスが8割超を占めるとみられる。

 県の推計では、11年時点で、県内のAPハウスの8割は設置後8年以上が経過していた。「今はさらに老朽化が進んでいるとみられる」(県農産園芸課)ことから、対策は喫緊の課題。網代さんのような思いを抱える農家は少なくない。

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 APハウスの更新費用は10アール当たりで約1千万円、低コスト耐候性ハウスになると、約1600万円に上る。追い打ちをかけるように重油価格も高騰。網代さんが就農した40年以上前と比べ、自らの年間生産コストは重油代だけでも200万円以上増えたという。網代さんは「農家が更新費用の多くを負担するのは困難な現実がある」と訴える。

 県産品の販路拡大やPR、新規就農者のサポート、情報通信技術(ICT)の導入支援…。県は多岐にわたる農業施策を展開している。しかし、老朽化したハウスの建て替えについては、半額を補助する国の事業があるだけだ。

 網代さんは「ハウスの老朽化問題は本県農業の強みである施設園芸の存続に関わる問題。廃業も増える中、台風24号のような被害が増えれば農家の意欲は減退し産地が弱体化してしまう」と危惧。「たとえ地味でも、成果が見えにくくても、足元の課題にしっかり対応してくれる行政であってほしい」と注文する。

【写真】植え直した1000株のピーマンを前に「施設園芸の足元の課題にも目を向けて」と話す網代さん=川南町平田

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