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託す思い<1>

2018年12月15日

誇りと夢 共有したい 勤務条件や課題提言

【林業の女性活躍を訴える/小田ちはるさん(美郷町)】

 先祖から日本を形づくってきた山と文化を後世につなげる“志事”をしなければ-。林業を営む小田ちはるさん(51)=美郷町北郷=の胸には、山に携わる誇りとともに「20年後も本県はスギ丸太生産量が日本一であり続けるだろうか」との不安がよぎる。

 製材工場の大型化に伴って木材需要は急伸。投入された高性能林業機械が伐採量を押し上げる。林業に活況の兆しは見えても、足元の植える現場は機械化が進まず、担い手不足も相まって伐採とのバランスが崩れている。再造林率が5割ほどの地域もある。

 「木材をただの商品としてしか見ないのならば再造林は進まない。水や空気を生み出す山を循環させる理念を、県全体で共有できる仕組みが必要だ」と訴え、その一例として植林を通しイメージアップを図る企業を巻き込んだ再造林システムを求める。

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 林業の世界に身を投じたのは1990年。シイタケと木炭生産を家業としていた夫と結婚したのがきっかけだった。2人で丸太生産業にも乗り出し、伐倒から枝打ち、集材作業を基礎から学んだ。山に通う毎日、重労働が身にこたえたが「現場に出れば甘えられない」と自らを鼓舞した。

 その4年後、3歳の長男に急性リンパ性白血病が見つかってからは、1年の半分は入退院に連れ添い、残りは育児と家事、山仕事を掛け持ちした。長男が完治するまでの7年間、そんな日々が続いた。

 2011年、今度は自らが乳がんを医師から宣告される。しかし、これが転機となった。「人生を振り返る余裕もなく、現実に流されていた。自分の歩む道を誇れるように、わくわくした夢を持ち、仲間と共有して実現したいと思うようになった」

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 それからは林業の作業を減らし、活動の幅を外に広げた。地元の林業研究グループで山に残された林地残材を加工したおもちゃを製造。NPO法人を設立し、山林の荒廃につながる竹を有効活用した灯籠作りにも挑戦している。

 16年には、林業に関心のある女性が集う「ひなたもりこ」を結成。会員は70人を超え、現場の勤務条件のほか、トイレ問題や作業着の改善など女性が参入する上での課題を洗い出し、イメージアップに向けて県に提言している。

 本県の林業就業者は15年の国勢調査で、前回(10年)比17%減の2222人と低迷が続く中、女性活躍への期待を込める。「『稼げて』『かっこいい』『環境保全につながる』を林業の新たな3Kにしたい。段取り上手な女性は、担い手として大きな可能性を秘めている」。誰もが働く喜びをかみしめられる林業になってほしいと願っている。

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 農林業や観光、医療・福祉などの各分野で日々汗を流し、現場を支える人たちは、県のリーダーに何を託すのか。それぞれの思いに迫る。

【写真】「林業の担い手として女性は大きな可能性を秘めている」と語る小田さん=美郷町北郷

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