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100問アンケートから<2>

2018年12月12日

ハード整備 予算課題

■質 問■南海トラフ巨大地震への備えは十分進んでいる

 海岸沿いにある宮崎市内海の野島地区。約40世帯80人が暮らす住宅の多くは標高3~5メートルで、7割超を高齢者が占める。2005年に自治会長に就いた河野武嗣さん(66)は同地区が江戸時代の外(とん)所(どころ)地震で津波に遭った経験などから、地域を挙げた備えを進めてきた。

 まず標高6メートル以上の6軒を地区津波避難所に設定。南海トラフ巨大地震の可能性が指摘された後の12年4月には、6軒のうち標高25メートル以上まで逃げられる2軒を選んで避難経路を整備し、災害時要援護者台帳も作った。

 河野さんは自分たちの命、地域の安全は自分たちで守らなければならないと考えながらも、「県がもっと主導してほしい」との思いも抱く。

 日南市との境にある同地区にとって、災害時は日南の情報も重要。河野さんは「道が寸断したら日南の避難所の方が近いかもしれない。県は両市相互の施設利用に関する取り決めなどを協議してほしい」と注文する。

 本県の南海トラフ巨大地震による死者は約3万5千人-。甚大な被害を想定する県は「新・県地震減災計画」に基づき、この5年間は避難場所の確保を急いできた。

 沿岸市町では既に津波避難タワー18基が整備され、来年度中に予定された全26基が完成する見通し。これにより、民間のビルや高台など約千カ所の緊急避難場所を含め、浸水想定区域内に居住する約15万人の避難場所を確保できるという。

 県によると、(1)地震発生から5分以内に準備して逃げる「早期避難者」の割合を現在の20%から70%まで向上(2)建物の耐震化率を90%に向上-が実現すれば死者数は約8600人まで減らせる。

 ただ、ハード整備はこれで十分なわけではない。県の試算では、河川の堤防かさ上げや緊急輸送道整備、橋の耐震化、土砂災害対策など防災・減災に向けて必要な費用は、県事業だけで少なくとも1兆1千億円以上。対策を具現化する上では国の予算を獲得できるかが大きな焦点となる。

 宮崎大の原田隆典名誉教授(地震工学、災害学)は「国の予算配分は一律でなく、自治体の競争。本県の社会インフラ整備が遅れている中、ハード対策の資金を国から取る仕組みをもっと研究すべきだ」と強調する。

 ハード整備同様に、ソフト面での課題も残る。

 野島地区のように地域一体で高い意識を保つケースがある一方、県の県民意識調査で災害への備えを「している」とした人は17年調査で45・5%。東日本大震災前の10年32・2%から上向いているものの、半数に満たない状況が続いている。

 県危機管理課の海野由憲課長補佐は「訓練などを通じて地域を支援し、早期避難の実現に向けたより具体的な施策を進める必要がある。これは中長期的にずっと続くものだ」と展望する。

 今の知見で地震は予知できなくとも「長い揺れの後しか津波は来ない。(津波到達まで)15~20分ほどあり、逃げれば十分に大丈夫」と語る原田名誉教授。一方で「逃げれば助かるのに逃げない人もいる」と住民意識に起因する難題にも触れ、ハード、ソフトの両面で実効性ある取り組みを強化する必要性を訴えている。



【松本  隆候補(無所属・新)】

 必ず発生することが予測される南海トラフ巨大地震だが、具体的な対策が見えない。インフラなどハード面の整備とともに県が、市町村による避難指示や住民への伝達が的確に行えるための支援や県民の防災意識を醸成するために徹底した予測情報の提供などが不可欠である。

【河野 俊嗣候補(無所属・現)】

 沿岸市町での津波避難タワーの整備や避難場所の指定等は、来年度をめどに進めているところ。今後は、内陸部の市町村による支援体制づくりや避難生活の場所の確保、地震・津波に備える意識の向上などに力を入れていく必要がある。

(届け出順)

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