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100問アンケートから<1>

2018年12月09日

過重労働招き悪循環

 宮崎日日新聞が県知事選候補者2人に行った「100問アンケート」では、選択式のほか記述でも回答を求めた。各質問に関する県内の現状と課題を探った。        



■質 問■介護分野の人材不足問題は喫緊の課題だ

 「日本の若者が介護業界に興味を持てなくなった。外に活路を見いださざるを得ない」

 特別養護老人ホームなどを運営する都城市の社会福祉法人・大淀福祉会は来春、介護福祉士を目指す技能実習生らベトナム人8人を採用する。面接を担当した大峯伸一事業統括部長は「言葉の壁はあるが、心が通じ合えばケアは成り立つ」と強調。補完要員ではなく、中心となる人材に育成しようと考えている。

 背景にある人手不足は年々深刻化し、介護現場の体力を奪っている。同法人の施設職員数は5年前に比べて2割ほど減った。採用しても1年もたたないうちに辞めてしまうケースが業界で後を絶たない。その穴を埋めるために、ベテラン職員が過重労働に追い込まれるという悪循環に陥っている。

 大峯部長は「安心して働くことが難しくなっている。介護の質を担保するにはぎりぎりの状態」と吐露。「国内で優秀な人材を確保できない時代になりつつある今こそ、施策を繰り出して若者を引き込まなければ後はない」と危惧する。

 県が昨年10月、介護サービス2722事業所を対象に実施した実態調査によると、「(職員が)不足している」と答えたのは全体の4割、訪問介護員に至っては6割近くを占めた。介護職の有効求人倍率は5年前の1・36倍から、今年10月現在は2・49倍まで上昇。1人の人材を複数の事業所が奪い合う構図がある。

 団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」も暗い影を落とす。県の試算では、介護需要の増大から3735人の介護職が不足。介護を求める高齢者に十分なサービスを提供できない事態も懸念される。

 県は対策として介護福祉士養成施設の在学者に対する修学資金貸し付けや処遇改善による離職防止など年間約30事業を展開。求人と求職を結びつける福祉人材センターも委託運営するが、昨年度に就職に至ったのは求人1283人のうち6%の78人にとどまっており、実効性に課題が残る。

 人手不足を補う有効な切り札になり得るのが介護ロボットだ。県の委託を受けた県老人保健施設協会(45施設)が16年度から実証事業に乗り出している。これまでに、利用者をベッドや車いすへ持ち上げる移乗支援型や見守り型など5機種を計16施設に貸与。本年度も4機種を6施設に貸し出し、効果を調べている。

 機種によっては腰痛防止といった負担軽減につながる一方、装着から移乗までに時間を要するなど一長一短があり、普及に至るまでには壁があった。それが、人工知能(AI)を搭載した機種へと年々形を変えて進化し、介護現場の実情に即したロボットが生まれつつあるという。

 同協会の日高弘一朗事務局長は「人と介護ロボットが仕事を分担する協業の時代が、近い将来訪れる。職員の働きがいを高め、離職を食い止めるためのロボットの可能性を探っていきたい」としている。



【松本  隆候補(無所属・新)】

 人材不足最大の原因は低賃金と劣悪な労働条件にある。高齢者の尊厳を大切にした介護のためにも、介護報酬の抜本的な増額・底上げが必要であり、介護職の人員配置基準の改善や社会的地位の向上、それを正当に評価する処遇改善が図られてこそ、入職意欲も人材確保も前進する。

【河野 俊嗣候補(無所属・現)】

 介護人材は現状でも不足しており、今後75歳以上人口の増加が続く中で、施設介護、在宅介護に対応する専門人材の確保は急務。介護事業所の給与引き上げのための処遇改善加算の取得を促進することなどにより、人材確保を積極的に支援していく。

(届け出順)

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