(上)政務調査費 批判受け見直し積極的(2007.4.1付)
(中)議会活性化 議員の資質向上不可欠(2007.4.2付)
(下)選挙区と定数 広域化や削減求める声(2007.4.3付)
連載企画「改革の争点」

(下)選挙区と定数 広域化や削減求める声

4月3日付

 本県最北の選挙区・西臼杵郡区(定数1)は立候補者が自民現職の緒嶋雅晃氏(66)しかおらず、5回連続無投票となった。20年間、候補者同士の政策を聞き比べる機会が与えられない状況に、高千穂町の公民館長は「選択肢が1人だけというのはまずい。マニフェストがなくても当選する」と嘆く。

 定数1の選挙区である「1人区」は「新人候補が出にくい」「死に票が多い」といった弊害が指摘されている。地元JA幹部は「無投票が続いているのは良いことではない」としながらも、隣接する選挙区との合区には「地元の議員がいなくなった場合、山間地の現状が伝わらない」と否定的だ。

 一方、宮崎郡区は旧佐土原、田野町が宮崎市と合併したことで、清武町のみの選挙区となり、定数も1になった。

 同町の区長の1人は宮崎市区との合区が妥当だと考える。根底には、反目する前町議2人が議席を争っている現状への嫌気があり、「宮崎市と同じ選挙区になれば、候補者の選択肢も増えるのだが」と望む。

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 今回の県議選では、議会改革の一つとして議員定数(45)の削減を公約する候補者が目立つ。県の厳しい財政状況や、議会機能低下を指摘する世論などが背景にあるようだ。

 宮崎日日新聞社が全候補者を対象に実施したアンケートでは、適当な議員定数について72人のうち「36―40」と回答したのが25人(34・7%)で最も多かった。次いで無回答22人(30・5%)、「42(現在の議員数)」9人(12・5%)、「30以下」8人(11・1%)だった。

 「3選挙区に集約すべきだ」「1人区は見直す必要がある」。削減を回答した候補者の多くは、選挙区数を現在の16から減らし、広域化することを求めている。

 1人区については30人が廃止や削減などに言及。都市部の宮崎市、都城市、延岡市区で目立ち、郡部の選挙区では慎重な意見が見られた。

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 ある自民現職は、政策立案機能を重視した「少数精鋭議会」への転換を訴える。その上で、有権者と候補者が安易な削減論に走ることを警戒し、「中山間地などでは行政の力で解決すべき課題が多く眠る。県土の均衡ある発展へ向け、『1票の格差』をどこまで許容するかという議論が必要になる」と注文する。

 県議会は昨年3月、今回の改選後に選挙区と定数を見直すことを決めているが、先行する県もある。本県の2・1倍の人口と1・6倍の面積を抱える新潟県では、県議会の自民会派の提案により2003年の前回選挙で61だった定数を53に削減。選挙区は自民のほぼ独壇場だった1人区を21から13に減らした。

 「行政がスリム化している中で定数を削減しなければ県民は納得しない」と自民党新潟県連の山崎米治事務局長。1人区削減などで選挙区が広がることには「これまでは農業など地元限定の政策を訴えれば良かったが、今回は福祉や教育など幅広い政策提言が求められる」と話す。その言葉からは、選挙区と定数の見直しが、選挙と候補者に質的変化をもたらしていることが読み取れる。

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(中)政務調査費 批判受け見直し積極的

4月2日付

 “脱しがらみ”を訴えて誕生した東国原英夫知事は、県議会の運営の在り方にも一石を投じた。議会デビューとなった2月定例会では、答弁書をほとんど見ず、身ぶり手ぶりを交えて自分の言葉で答えるなど、県民に分かりやすい議会になるよう試みた。

 代表質問、一般質問での一問一答方式導入の提言もその一つ。代表質問で登壇した議員が約50分間にわたって質問を読み上げた後、「県民から見て一問一答方式の方が分かりやすい」と切り出した。

 県議会は一括質問方式を採用している。議員が複数項目をまとめて質問した後、執行部が回答。知事、部長が次々と答弁するため、誰がどの質問に答えているのか分かりにくいと指摘されている。

 知事の発言後、一般質問では、最初の質問時間を短くし、再質問時に執行部と渡り合うことで“一問一答方式”に挑む議員も現れた。再選を目指すこの現職は「事前に執行部との擦り合わせが行われないし、県民にも分かりやすい。ただし、物事を深く追究しないと質問はできない」と議員の資質向上を訴える。

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 宮崎日日新聞社が全候補者を対象に実施したアンケートでは、議会活性化に求められるものとして、20人が「一問一答方式の導入」を挙げ、2番目に多かった。

 県議会事務局によると、全国で一問一答方式を取り入れているのは10府県。本県も2004年、議会活性化等検討委員会を設置して質問方式を検討し「質問時間の配分が難しい」「議会全体の時間が長くなる」などの理由で採用しなかった経緯がある。依然、導入の議論は賛否が分かれる。

 アンケートで最も多かったのは「議員発議条例(政策条例)の増加」で30人。知事も就任あいさつで議長を訪ねた際、議員発議条例数の少なさを指摘し、真の二元代表制に結び付く議会機能充実を求めている。

 実際、これまでに県議会で成立した議員発議条例は、昨年9月定例会で可決した県防災対策推進条例一つだけだ。宮城県は06年度までの17年間に16件、三重県は12件制定している(地方行財政調査会調べ)。

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 「県民生活に直結した声を条例化することが議会のあるべき姿。県民との意識が懸け離れている」。宮崎市区の新人は地方分権が加速する中、政策立案能力を高めるのは必然ととらえる。同区の現職は「議員発議条例を増やしたいが、議会事務局の人的体制の整備もなくてはならない」と厳しい実情を明かす。

 別の現職は「改革派知事」を生んだ世論の風を気にして、思い切った動きが取れずにいる。風を呼び込もうと、安易に知事の政策を追随する動きをけん制するが「知事との政策の違いを訴えても、県民から批判を受ける」と困惑している。

 本県再生のさなか、県政改革の流れに抗することはできない。丁々発止の議論が交わされる議会にするため、候補者を見抜く有権者の眼力がこれまで以上に問われている。

 2月定例会を傍聴した宮崎市の主婦(75)は言う。「議会活性化は投票の判断材料になる。県民が政治参加しやすい政策を提案する候補者を選びたい」

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(上)政務調査費 批判受け見直し積極的

4月1日付

 「領収書のない金が月に30万円。こういう既得権を守って、当たり前に過ごしてきた人に県の未来を託すことができるか」。県議選が告示された3月30日、宮崎市区の新人は第一声で声を張り上げた。領収書のない金とは、全国的に不適切な支出が明るみに出ている政務調査費のことだ。県議会の対応の遅れもあり、県議選の争点に持ち込もうとの思惑だ。

 現職も守旧派に色分けされないよう懸命。同市区の1人は「政務調査費、定数削減の問題など改革の足かせになっている。議会改革に積極的に発言していく」と改革姿勢を訴えた。

 政務調査費は地方自治法に基づき支出され、金額や使い道は県議の場合、県の条例で定められている。県は県議1人当たり月30万円を所属会派に支給、会派は事務職員らの人件費などを除いて所属議員に割り振っている。使途は調査研究、研修、資料購入費など八項目。会派ごとに収支報告書を議長に提出するようになっているが、領収書の添付などは義務付けられていないため、“お手盛り”と有権者の厳しさも増している。

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 宮崎日日新聞社が県議選の全候補者に実施したアンケートでは、政務調査費の見直しに積極的な意見がほとんどを占めた。「透明化、減額を含め総合的に見直す必要がある」が50%、領収書添付など「透明化を図る必要がある」が44・4%など、現職を含め世間の批判を無視できない状況が浮き彫りになった。

 政務調査費の必要性を訴え「年度初めに調査計画、予算を組んで公表し、結果も領収書添付の上、公表する」「金額は20万円に減らす」と具体的な提案も見られた。

 一方で「今後、議会が政策立案能力を強化していくために大切」「地方分権で事務事業の自治体移行が進み、議員の調査範囲が各般に及ぶことなどを踏まえ金額を考えるべきだ」と適正な政務調査費自体まで否定する動きに警戒する声もある。

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 政務調査費が有効に使われたかを県民が知るため、情報公開は欠かせない。全国市民オンブズマン連絡会議の都道府県・政令指定都市情報公開度ランキング(2006年11月時点)では、政務調査費は全国30位にとどまり、総合順位を26位に押し下げる一因にもなった。領収書添付や支出年月日の具体的な記載がなかったからだ。

 政務調査費の適正化では、県内の市議会が一歩先を行く。調査費が支給されている8市議会のうち、都城、日向市が領収書添付の義務付けを先駆けて実施。今年3月に入って西都、小林、えびの市と続いた。

 議員1人当たり年額18万円を支給している西都市議会。全国的に政務調査費問題が注目を集める中、各会派代表でつくる委員会で条例改正の議論を急いだという。

 県官製談合事件後、県民の政治不信が強まっている。「全国的にも議会に対する信頼がなくなりつつある」と危機感を強める西都市議は県議会に注文する。「議会はより透明性を高め、議員も襟を正していかなければならない」

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 8日の投票日に向けて県議選がスタートした。宮崎日日新聞社が実施した候補者アンケートの結果を基に、県議会改革の争点を探る。

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