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県南の観光

2020年1月10日
◆速度上げる変化への潮流◆

 昨年12月の日南市議会で市は、外国のクルーズ船が最初に寄港する「ファーストポート」を目指す同市・油津港について、今年1月にも整備が完了する見込みであることを明らかにした。近年、中国人を中心としたクルーズ船での旅行需要は以前の長期から5泊以内の短期へと変化。日本に訪れるとしても一つの港ぐらいしか寄港しない。当然、最初の入港に必要な税関、出入国管理、検疫という条件がそろった港に多く寄港することになる。

 こうした需要の変化を受けて、同港へのクルーズ船寄港は2017年の26回(日本船含む)をピークに19年は8回(同)と減少していた。市や県などはファーストポート化への体制を整えるため検疫に必要な条件も整備。ようやく準備完了へのめどがついた。また寄港が増えるのを期待するのだが、各国のクルーズ船は2、3年先まで寄港先が決まっているという。同港がファーストポートとして受け入れるのはその後か、この2、3年内であっても突発的に受け入れる場合となる。

 寄港が減ることはインバウンド(訪日外国人客)も少なくなると考えていたが昨年、市内で旅行形態を調べたとき、少々驚いたことがあった。クルーズ船寄港は減っているのに同市へのインバウンドは増えている。九州内の空港に降り、レンタカーやバスを使い周遊する旅行形態が人気だからだという。市内観光地で他県ナンバーの車を多く見かけるのはそういう理由がある。

 市はファーストポートとしての受け入れ準備とともに、こうした旅行形態の変化にも目を配っていく必要があろう。また、鵜戸神宮や飫肥城周辺などに集中するインバウンドを街中に引き込み、お金を使ってもらう仕掛けも大事だ。

 一方、同市を訪れる観光客の宿泊拠点として重宝されていた「かんぽの宿日南」が昨年末、営業終了となった。日本郵政(東京)という一企業の経営判断だが今後、売却などに焦点が移る。同市の観光にも影響を与えるため市や民間は、ホテル形態での再開を望んでいる。集客力を高めさらに魅力ある施設に生まれ変わるのならば、それほど悲観することでもない。

 くしくも営業終了と同じ日、東九州道の宮崎、日南市が22年度にも結ばれる見通しであることが発表された。うれしいニュースだが、開通効果を享受するためには準備も必要だろう。

 ファーストポート化、かんぽの宿日南、東九州道。いずれも「受け入れツール」の性格を持つものが同時期に動きを見せたことになる。これは県南観光における変化への潮流が速度を上げたとも言えるかもしれない。

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