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気候変動「COP25」

2019年12月13日
◆日本の消極的姿勢に落胆◆

 スペイン・マドリードで開催されている国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)の閣僚級会合で、小泉進次郎環境相が演説した。

 各国で廃止に向けた動きが急速に進んでいる石炭火力発電について「世界的な批判は認識している。地球温暖化対策をさらに強化する必要がある」と述べた一方で、「脱石炭」に踏み出すことは表明しなかった。

 先進国最大の温室効果ガス排出国である米国のトランプ大統領が離脱を正式に通告する中、残された国々が団結して、深刻化する温暖化対策に取り組む姿勢を示せるかどうかが問われる重要な会議だ。

 具体的な取り組みの強化を示すことが期待されていたにもかかわらず、小泉環境相は、2030年の温室効果ガス排出削減目標の引き上げや、発展途上国への資金支援の増額にも言及しなかった。消極的な姿勢に、世界の落胆と批判は極めて大きいと言える。

 気象災害が多発し、「気候非常事態」とか「気候の危機」と呼ばれるまでになっている。もはや一刻の猶予もできない。

 気象災害の被害が昨年、最もひどかった国は日本だったとの報告書を、ドイツの環境シンクタンクが会議中に公表した。西日本豪雨や猛暑に襲われたことが要因だ。異常気象による深刻な影響は身近に迫っている。

 開幕を前に、国連環境計画(UNEP)が重要な報告書を発表した。2018年の世界の温室効果ガス排出量は553億トンで過去最高と推定される。排出が今のペースで続けば、今世紀末の気温は産業革命前と比べ最大3・4~3・9度上がり、破壊的な影響が生じる恐れがある。これが報告書の警告だ。

 パリ協定は、温暖化の深刻な被害を避けるため産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えることを目指す。だが、協定に基づく各国の削減目標を達成しても3・2度の上昇になる。各国政府には自国の削減目標の上積みを目指し、対策を強化する姿勢が求められている。しかし、日本政府は「30年度に13年度比で26%削減」という目標の上積みは困難だとの立場で一致するなど、落第点に近いのが現状だ。

 しかも日本は、二酸化炭素の排出量が多く、石炭火力発電への依存も続けており、今後、多くの発電所が運転を始める。石炭火力発電所建設への海外援助も継続する方針で、これにも内外から厳しい批判が出ている。

 世界5位の温室効果ガス排出国としての責任を果たすために、日本は主要先進国の一員との自覚を忘れず、これまでの不十分な政策を大きく変える転機としなければならない。

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