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皇位の安定継承

2019年11月28日
◆早急に議論の環境整えよ◆

 天皇、皇后両陛下は、即位の礼と重要祭祀(さいし)「大嘗祭(だいじょうさい)」が終わったことを報告するため、伊勢神宮(三重県伊勢市)を参拝された。即位関連儀式は今後も続くが、大きなヤマを越えた。今後、政府がいつ、どのような形で皇位の安定継承に向けた議論に着手するかが焦点となる。

 2017年6月、上皇さまの天皇退位を実現させる特例法が成立。衆参両院の付帯決議は、今年4月30日の法施行後、速やかに「安定的な皇位継承を確保するための諸課題」などを検討し、国会に報告するよう政府に求めた。本来なら5月1日の即位後、間を置かず議論に入るべきだった。

 ところが議論は始まらず、政府内では、皇位継承策を検討する有識者会議の設置を来春以降に先送りする案まで浮上。祝賀ムードの中で国論を二分するような論争は避けたいとの声も聞こえてくる。とはいえ、論点は出尽くしている。女性・女系天皇を容認するか、女性宮家を創設するか、旧宮家の子孫に皇室入りしてもらうか―などだ。

 女性天皇は歴史上、10代8人いる。いずれも父方が天皇の血筋につながる男系で、在位中は独身だった。母方で天皇につながる女系の天皇はいない。

 2005年11月、小泉政権下の有識者会議は「古来続いてきた男系継承を安定的に維持するのは困難で、皇位継承資格を女性や女系の皇族に拡大することが必要」と結論付けた。だが06年、秋篠宮家に悠仁さまが生まれ、典範改正は見送られた。

 女性・女系天皇の議論が下火になる中、12年10月には旧民主党政権が皇族減少対策で、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる女性宮家創設を柱に検討する方向性を打ち出したが、直後の政権交代で立ち消えになった。

 安倍晋三首相は「男系維持」を強調。皇室の歴史と断絶するとして、女系天皇には「明確に反対」の立場だ。女系天皇につながると、女性宮家にも反対している。その中で、自民党の甘利明税制調査会長が24日、女系天皇を認めるべきだとの考え方を示した。党幹部の女系容認発言は異例で、今後の議論に影響を与える可能性もある。

 事態は切迫している。皇位継承資格者は現在、継承順に皇嗣(こうし)の秋篠宮さま、悠仁さま、上皇さまの弟である常陸宮さまの3人。現行制度のままで皇位を引き継ぐなら将来、悠仁さまに男子が誕生するのを期待するほかないという綱渡りの状態だ。

 女性天皇や旧宮家復帰など、どの方策を巡っても激しい論争が予想されるが、何も手を打たなければ、象徴天皇制が揺らぎかねないことは誰の目にも明らかだ。政府は早急に議論の環境を整えるべきだ。

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