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GSOMIA失効回避

2019年11月23日
◆関係悪化解きほぐす努力を◆

 韓国が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)の失効を回避した。日韓安全保障協力の柱は維持されることになり、妥当な判断だ。

 北朝鮮は短距離弾道ミサイル実験などを繰り返し、能力を高度化させる。中距離核戦力(INF)廃棄条約が失効し、ロシアが米国と展開するミサイル開発競争は予断を許さず、中国の軍事力台頭も無視できない。

 安保環境に確実に対応するため、日米韓の連携がいつにも増して必要だ。GSOMIAは日米と米韓の同盟関係を補完し、日韓で直接に軍事情報をやりとりでき、3カ国の安保面での協力体制を象徴する。この補完の軸をなくすことは、北朝鮮や中国などに誤ったメッセージを送ることにもなるところだった。

 韓国は、日本が7月以降に実施した半導体材料主要3品目に対する輸出管理強化や、8月に貿易相手国としての優遇対象国から外したことなどを理由に、GSOMIAの破棄を打ち出した。この間、韓国は輸出管理強化の撤回がなくてはGSOMIA破棄の撤回には応じられないとしてきたが、ぎりぎりになって譲歩といえる姿勢を見せた。GSOMIAの破棄は日韓だけの問題ではなく、米国を含む地域安保に影響を及ぼすとの戦略的判断があったと信じたい。

 韓国はまた、日本が講じた輸出管理の強化措置についても、世界貿易機関(WTO)への提訴をとりやめ、日本との2国間協議に乗り出すとした。この協議が続いている間、GSOMIAは維持されるというものだ。

 日本はGSOMIAと輸出管理の強化は別問題だとしているが、両者を微妙に連携させることによって、日本の姿勢軟化を引き出そうとする苦肉の策ともいえる。康京和(カンギョンファ)外相が「輸出規制撤回のための土台ができた」と述べたことにも、韓国の思惑がうかがえる。

 だが、日韓の関係が今日のように悪化した要因となった元徴用工訴訟を巡る対立は解決への糸口さえ見えない。1965年の日韓請求権協定で解決済みとする日本と、元徴用工が強いられた労働は植民地支配で引き起こされた不法な行為であり請求権協定の枠外にあるとする韓国最高裁の判決は水と油のような関係にある。

 既に韓国からの訪日客は3カ月連続で対前年比で半減、日本の観光地や韓国の航空会社、旅行業界は大きな影響を受けている。こうした状態が定着することは、日韓双方にマイナスだ。

 12月下旬には、中国で日中韓首脳会談が予定されている。この機会を利用し、日韓の首脳が、絡み合った関係悪化の糸を解きほぐす努力を尽くしてもらいたい。

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