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香港デモ混迷

2019年11月22日
◆民主化認め、長期安定図れ◆

 5カ月以上にわたって激しいデモが続く香港では、民主化を求める若者たちと警官隊の衝突が続き、情勢は混迷を極めている。警察は香港理工大を占拠したデモ隊約1100人を退去させたが、一部は籠城を続け、大学周辺に多数のデモ隊が集結して警官隊と衝突した。双方は出口の見えない暴力対決を回避し、解決の道を探るべきだ。香港の民主化を支持する日米欧などは冷静な対応を促したい。

 香港の林鄭月娥行政長官は記者会見し、理工大に残るデモ隊の速やかな投降を呼び掛けた。24日の区議会(地方議会)選挙については「主導権は暴力や威嚇を行う人が握っている」としてデモ側の対応次第で延期もあり得るとの考えを示した。

 選挙では民主派の躍進が予想されている。香港政府は既に2014年の民主化要求デモ「雨傘運動」のリーダー、黄之鋒氏の立候補を無効にするなど民主派を締め出してきた。デモを口実に選挙自体を延期するのは不公正だ。住民の投票の機会を奪ってはならない。

 11月に入り、抗議活動でビルから落ちたとみられる学生と、衝突に巻き込まれた高齢男性が死亡。警官の実弾発砲で学生が一時重体となり、反発したデモ隊が幹線道路を占拠、中国銀行に放火するなど過激化した。

 中国の習近平国家主席は「激しい暴力犯罪行為であり、一国二制度への挑戦」と非難。共産党機関紙、人民日報は「暴乱の制圧と秩序の回復」を訴える。中国・香港政府は一気にデモを鎮圧したい意向のようだ。

 香港の高等法院(高裁)はデモ参加者のマスク着用を禁じた「覆面禁止法」が香港基本法(憲法に相当)に違反するとの判断を示し、警察は同法に基づく取り締まりを停止した。

 10月に緊急制定された覆面禁止法について、高裁は「合理的な範囲を超えて市民の基本的権利を制限している」とし「司法の独立」を示したが、中国政府は「行政長官の権力への挑戦」と批判。基本法の解釈権は中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会が握るため今後判断が覆る可能性もある。

 長期化するデモが香港の経済や市民生活へ与える影響は大きい。「勇武派」と呼ばれる過激派は、破壊や放火、交通妨害などの暴力的な行為が弾圧の口実にされていることを認識し、雨傘運動が目指した「和理非」(平和、理性、非暴力)の原点に立ち返るべきだ。

 一方、中国・香港政府は強硬手段は避け、穏便な方法で事態収拾に努めるべきだ。デモを力ずくで抑えつけても市民の不満はくすぶり続ける。長期に香港の安定を維持したいなら民主化を認めるほかない。

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