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連合結成30年

2019年11月20日
◆大同団結はなお重い課題だ◆

 民間と官公の労働組合が結集した全国中央組織の連合が21日、結成から30年を迎える。労働者の生活改善の諸課題は尽きない。神津里季生会長は15日、日本記者クラブで会見し「一人一人の働く者と結び合う」と打開に向け非正規雇用、外国人とも連帯を強化する考えを強調した。次代の労働運動を模索する取り組みに期待したい。

 官公労組が中心の旧総評と民間労組が軸の旧同盟などが大同団結し、連合は1989年に組合員数約800万人で発足した。1千万人への拡大を目標に掲げたが、2007年には665万人にまで減少。非正規労働者の加入増加で今春、17年ぶりに700万人台まで戻したが、伸び悩みは明らかだ。

 「正社員クラブ」とされた連合は非正規対応が後手に回った。08年のリーマン・ショック後に「派遣切り」で非正規労働者が大量解雇され社会問題化。非正規支援が正社員の労働条件悪化につながることを懸念した連合は対応が遅れる。これが社会の批判を浴び、連合は09年春闘から非正規関連の要求も盛り込むように転換した。

 日本の企業は新卒一括採用、終身雇用を慣行としてきた。これに合わせ労組も欧米のような産業別組合ではなく企業別組合が中心だ。終身雇用が揺らぐ中、労組の在り方も問われざるを得ない。

 春闘も曲がり角だ。連合が賃上げ要求方針を定めて主導する春闘交渉は従来一定の役割を果たしてきた。その中心は賃金体系全体を引き上げるベースアップ要求だが、00年代は不況で見送る年が多かった。これに対し、デフレ脱却を掲げる安倍政権が産業界に賃上げを求めて介入する「官製春闘」が続いた。

 さらに残業規制、同一労働同一賃金など安倍政権が取り組む働き方改革は、労組が労使交渉を通じて経営側から勝ち取るのが本来の姿とも言えるだろう。政府が立ち上げた「全世代型社会保障検討会議」には経済界の有識者がいる一方、労組側が加えられなかった。存在感を発揮できていない現状がある。

 一方、連合は発足時から政治に積極関与。1993年の非自民8党派連立による細川護熙内閣、2009年の民主党による鳩山由紀夫内閣発足という二つの政権交代を組織的に支えた。

 しかし12年に民主党政権が倒れた後は、同党が衣替えした民進党が17年に分裂。今夏の参院選では立憲民主党と国民民主党に、傘下の産別組織の支持が分かれ、政治的影響力が十分行使できないでいる。脱原発か再稼働容認かで連合内部が割れていることも影響している。30年たっても大同団結は、連合にとってなお重い課題である。

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