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桜を見る会問題

2019年11月14日
◆「来年中止」で済ませるな◆

 安倍晋三首相の主催で毎春、東京・新宿御苑で開かれる「桜を見る会」に、首相が多くの後援会関係者を招いていた。会では酒や食べ物が振る舞われる。費用は税金でまかなわれ、参加費は無料だ。私物化との批判に対して、首相は「各界で功績のあった方々を招いている」と答弁するが、説明を避けている。

 政治家が自分のカネで地元の有権者に酒食を提供すれば公職選挙法違反となる。今回のケースは合法だとしても、後援会に対する招待であれば、公金を使った支持者への「おもてなし」であり許されない。政府は、来年は桜を見る会を開催しないことを決めたが、これまでは不透明だったことを認めた形だ。経緯を詳細に説明すべき首相の為政者としての資質が問われる。

 桜を見る会は、各界で功績や功労のあった人の慰労を目的に1952年に始まった。開催要領によると、皇族や国会議員、各国駐日大使の他、「各界の代表者等」として有名な芸能人やスポーツ選手らが招かれる。

 約1万人が目安とされているが、今年は同伴者を含め約1万8千人が出席した。2014年の予算からの支出額は約3千万円だったが、招待客の増加に伴うように、毎年増え続け今年は約5500万円になっている。

 今月8日の参院予算委員会で追及された際、首相は「自治会などで役員をしている方と後援会に入っている方が重複することもある」と述べ、後援会関係者としての招待ではないと主張した。一方、首相の後援会関係者は共同通信の取材に対して、毎年2月上旬に首相の地元事務所から桜を見る会の参加を募集する案内があり、氏名や住所、生年月日を記入して申請。事務所から往復の飛行機やホテル代、会場までのバス代を含んだ旅行プランが提示される、と証言している。

 内閣府の担当者も野党の追及チームの会合で、事務所の関与の有無について「個人に関する情報なので答えは控える」と明言を避けており、後援会としての招待だったとの疑いが晴れない。法律に触れないにしても、自らを支持しているか否かで有権者を選別し、支持者は公金で優待していたとなれば公的行事の私物化に当たる。

 最近では、妻が7月の参院選広島選挙区で初当選した際の公選法違反疑惑を指摘された河井克行前法相が「法務行政をつかさどる立場として、国民の信頼に一点の曇りもあってはならない」として辞任した。首相はその辞任を認めている。

 首相は行政全般に対してより重い責務を担っている。今回の「曇り」を拭えなければ、河井氏と同じ責任の取り方を求められることになる。

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