ホーム 社説

いじめ認知全国最多

2019年11月7日
◆早期発見し組織的な対応を◆

 文部科学省の2018年度問題行動・不登校調査で、本県の国公私立小中高、特別支援学校で認知されたいじめ件数は1万2706件だった。千人当たりの件数は101・3件で、2年連続で全国最多となった。

 軽微な事案も積極的に認知するようになった結果と前向きにとらえられるが、何より肝心なのはいじめが発覚した後の対応だ。保護者との連携に加え、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーら外部人材を活用し、チームでの対応を徹底することが求められる。

 いじめの中身は「冷やかしやからかい」「悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が小中高校で5~6割を占めている。高校では「ネットいじめ」による誹謗(ひぼう)中傷も多かった。

 教師がいじめを認知すれば、被害者と加害者の双方から話を聞くなどの対応に迫られる。一時的な仲たがいやからかいではなく、高学年になるほど複雑な人間関係や経緯が絡んでくる場合が多い。時には心身への重大な被害を与えることもある。

 これらに真摯(しんし)に対応し、子ども一人一人が安心していられる居場所を学校につくろうとするなら、担任1人では限界があるだろう。多様な情報を共有し、さまざまな手法で子どもたちにアプローチするには、個人ではなく組織的な対応が欠かせない。早期発見とその後の地道な対応がカギになるからだ。

 しかし、現場からもれ聞こえるのは「人手も時間も足りない」との声だ。小学校の担任制や中学校の部活などで教員は多くの業務を抱えている。いじめ認知件数が多い本県では特に、業務の効率化や人的補充への検討を進めるべきだ。多忙化は免れない事実だろうが、子ども間に起きている心身の危機への対応をおざなりに済ます言い訳にはならない。学校がいじめの兆候を軽くみたり、放置したりしないよう態勢を固めてほしい。

 全国的ないじめ認知件数も過去最多となり、54万3933件。心身に重大な被害を受けたり長期の欠席を余儀なくされたりする「重大事態」も同様に過去最多の602件に上る。いじめ以外では、本県の暴力行為は211件、不登校の児童生徒は1657人で、いずれも過去10年で最多だった。少子化の時代に、最多という数字は重い。

 個性重視や多様性が叫ばれるが、いまだ「個」を封じ込めるような画一的な指導が背景にあるとすれば、その弊害の一端と言えないか。子どもへの指示の出し方や声掛けなど、日常化している言動を教職員は自ら点検してほしい。子どもの学習権を阻害する要因を早急に取り除き、子どもを支援する方策を探る動きにつなげたい。

このほかの記事

過去の記事(月別)