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コンビニ時短

2019年11月5日
◆加盟店との共存共栄図れ◆

 コンビニエンスストア最大手のセブン―イレブン・ジャパンは、フランチャイズ加盟店の24時間営業の方針を見直し、一部店舗で時間短縮営業を始める。

 実験をしている230店舗のうち8店舗で今月から深夜営業をやめ、順次、時短営業を拡大。加盟店向けに具体的な時短形態や従業員への労務対応をまとめた「深夜休業ガイドライン」も策定した。時短営業に移行するかどうかの最終判断は、加盟店オーナーに任せる。

 業界最大手の同社の決定が他社に及ぼす影響は大きい。ただし、加盟店が本部に支払うロイヤルティーについては、24時間営業の店舗を優遇する。永松文彦社長は、時短営業に移行する店舗は一部にとどまるとの見方を示しており、時短店舗がどれほど増えるかは見通せない。

 同社は24時間営業の導入で業界首位の地位を確立した歴史があり、時短営業に最も消極的だったといわれる。しかし、経済産業省による「外圧」も加わり、24時間営業を従来の形で続けることは不可能になった。

 だが、今回の方針では、ロイヤルティーで24時間営業の店舗を優遇するとしており、ブレーキとなりかねない。脱24時間の本気度が問われる。深夜営業を続ける店舗にもやめる店舗にも、平等な契約を基本とするべきではないか。

 今後、加盟店の中には、時短営業を選択したくても選択できない店舗が多く出てくるのではないかと予想する声が少なくない。その根本原因は、コンビニの経営戦略にある。

 コンビニ各社は商品の生産や配送、陳列で24時間営業を前提にしており、深夜営業をしない店舗は対応が難しい。「ドミナント戦略」と呼ばれる同一地域の大量出店は、1店舗当たりの売り上げを低下させ、利益率を悪化させる。他社に加えて自社の他店舗とも競争しなければならず、オーナーは時短営業に踏み切れなくなる。

 一方で、時短の実験店舗では販売額が落ち込んでいない例もあり、売り上げ確保には24時間営業が必要だという神話は揺らいでいる。

 日本には5万店を超えるコンビニ店があり、ほとんどが小規模の加盟店だ。本部の立場は強く、加盟店は不利な契約も拒めないことが多い。しかし、本部の利益優先で加盟店が存続できなければ本末転倒である。本来の理念は、本部と加盟店の共存共栄であるはずだ。

 コンビニ各社にはこの理念に立ち返るよう求めたい。生産・配送体制の見直しや省力化投資の拡大はもとより、出店戦略の転換にも大胆に踏み出してほしい。24時間営業を柱とする事業モデルは限界にきている。

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