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即位礼正殿の儀

2019年10月23日
◆安定継承に国民的議論必要◆

 天皇陛下は皇居・宮殿で「即位礼正殿の儀」に臨まれた。外国の元首ら2千人以上を前に玉座「高御座(たかみくら)」に上り、「国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国および日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓う」とお言葉を述べた。

 中心儀式の正殿の儀のほかにパレード「祝賀御列(おんれつ)の儀」と祝宴「饗宴(きょうえん)の儀」もあり、いずれも憲法上の国事行為。今回、政府は台風19号の被害を踏まえ、パレードを来月に延期し、それ以外の儀式は外国の賓客も列席するため予定通り実施した。

 陛下は5月1日の即位に際してのお言葉でも「国民に寄り添う」との決意を示した。台風被害を巡っては、犠牲者に哀悼の意を表し、安否不明者の早期発見や生活再建を願う「両陛下のお気持ち」が宮内庁から発表された。政府は陛下の強い思いにも配慮し、パレードの延期を決定したとみられている。

 ただ象徴天皇制は皇位の安定継承や皇室活動の維持などに課題を抱え、重大な岐路に差し掛かっている。皇位継承資格者は皇室典範により「男系の男子」に限られ、現在は継承順に皇嗣(こうし)秋篠宮さま、秋篠宮さまの長男悠仁さま、上皇さまの弟・常陸宮さまの3人。このままでは10代の悠仁さま1人に皇統存続の重圧がかかることになる。

 また皇族は現在、天皇、皇后両陛下と上皇ご夫妻を含め18人。うち未婚女性は6人いる。典範の規定で民間人と結婚したときは皇族の身分を離れるため今後、結婚が相次ぐと、公務の担い手が足りなくなる。

 旧民主党政権は2012年、皇室減少対策として、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる女性宮家創設を柱に論点整理を公表。しかし、反対の急先鋒(きゅうせんぽう)だった安倍晋三首相が政権に返り咲き、議論は停滞したままだ。

 首相はこれまで「男系継承が古来、例外なく維持されてきた」と強調し、女性宮家には「女系天皇につながる」と反対。17年1月に皇位の安定継承を巡り、戦後間もなく皇籍を離れた旧宮家の皇族復帰が選択肢になり得ると答弁。

 それ以前に月刊誌への寄稿で、旧宮家の男系男子を現在の宮家の養子に迎える方策を提唱したこともある。今年3月になり、旧宮家復帰について「全く考えてはいない」と一転、否定的見解を表明した。

 政府内では、民間人と結婚した女性皇族に皇室活動を委嘱する案が検討されている。しかし皇族減少対策にはなっても、皇位の安定継承にはつながらないだろう。天皇の地位は「国民の創意」に基づく。政府は今後、有識者会議を発足させるが、国民の側も皇室に何を求めるかを含め、考える必要がある。

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