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W杯ラグビー決勝Tへ

2019年10月19日
◆日本の健闘 被災者元気に◆

 ワールドカップ(W杯)ラグビーの日本チームが開幕から4連勝で1次リーグを突破した。長い伝統を誇るアイルランドやスコットランドも破り、初めて8強入りした健闘をたたえたい。

 日本は1995年大会でニュージーランドに17―145で敗れ、世界との力の差を思い知らされた。そこから、国際的な実戦経験を積む選手が徐々に増え外国出身選手も多くなった。さらに、優秀な外国人ヘッドコーチを迎えるようになり、チームは底上げの基盤が整ってきた。

 4年前の前回大会は、強豪の南アフリカを破る番狂わせを演じた。3勝1敗の好成績を挙げながら、惜しくもベスト8入りはならなかったが、実力の向上を自信にして、チームはさらにたくましさを増した。

 筋肉のよろいをまとった大型の選手が増えた。スクラムで相手に押され、崩され、ボールを奪われていた、かつてのか弱さはすっかり過去のものだ。

 体力と体格、ダッシュ力がものをいう密集での集散ではボールを失うケースが少なくなる一方、相手ボールを奪い取ることも珍しくない。

 ラグビーでは無用な反則を犯さず、我慢強く戦うことを「規律あるプレー」と表現する。日本は体力とスピードを向上させ、賢明で規律のある戦いを続けられるようになった。

 感じられるのは、自国開催となった今回、選手の試合にかける気持ちがこれまで以上に強いことだ。そして「4年に一度じゃない。一生に一度だ」のキャッチフレーズに背中を押されるように、ファンがチームに大きな期待を寄せ、競技会場以外でも盛んに応援する熱気だ。

 スコットランド戦が行われた横浜市の日産スタジアムには6万7千人を超える観客が詰めかけた。赤と白の横じまのレプリカユニホームに身を包んだファンが熱い声援を送り、日本チームはその大歓声を勇気に変えて攻守に躍動した。全国各地に設けられたパブリックビューイングの大画面の前でも、市民は歓声を上げた。チームはそうした全国から届く期待をしっかりと受け止めている。

 スコットランド戦は、台風19号の影響で東日本で河川の氾濫が起き、その詳細が明らかになりつつある中で臨んだ。被災者を気遣い、試合前にチームとして話し合いの場を設けたことをジョセフ・ヘッドコーチは明らかにした。鮮やかな連係からトライを決めた稲垣啓太選手は試合後、被災した人たちに元気を取り戻してもらいたいという気持ちでプレーしたと話した。

 19日から始まる決勝トーナメントを前に、ラグビー日本代表チームは既に多くの国民の心をつかんだのではないか。

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