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宮崎市で新聞大会

2019年10月16日
◆情報のバトン 重み増す責務◆

 毎朝届く新聞は読む人の生活に彩りを添え、時に人生の転機をもたらすことさえある。トップ記事の影響力は大きいが、片隅に載った短い記事も社会と人をつなぐ大切なものだ。こうした新聞の役割や社会的責務について考える時期を迎えた。

 15日、新聞週間が始まった(21日まで)。今年は、本県初となる第72回新聞大会(日本新聞協会主催)が16日に宮崎市で開かれ、約450人の新聞人らが全国から集う。

 近年、政府による公文書改ざんなど民主主義の根幹を揺るがす事態が続いた。インターネットを通じてフェイクニュース(偽情報)が拡散する危険も広がっている。権力を監視し、真実に迫ろうとする記者の丹念な取材と、正確性を追求する新聞報道はますます重みを増している。

 どんな辺境であっても同料金で同日に届く宅配制度も見逃せない。延岡市の離島、島浦島では本県で唯一、船便で新聞の受け渡しを行う。元漁師で約30年前に新聞販売店を継いだ清池正さん(69)夫妻=写真=は午前3時、自ら操船して陸側の阿蘇港を目指す。新聞を積み込みすぐに帰港。今度は妻つや子さん(68)と従業員が自転車に乗り、朝一番で届ける。

 潮の干満が大きいため船にジャンプして乗り降りし、霧が海にかかり視界ゼロで身動きできないなど、危険と隣り合わせの作業が続く。特に台風のときは危機一髪という。海上タクシーなど他の船が運休しても船を出し、2017年衆院選で投票箱が荒波で回収されなかったときでも海を渡った。

 正さんは「台風で大変とか言っちょられん。使命感よね、そういうときこそ新聞が求められる」と話す。新聞はこうした一人一人の思いを乗せた”情報のバトン”だ。

 ただ、新聞やテレビなどメディアの在り方は転換期にある。学校で新聞を活用するNIE、企業で新聞の良さを知ってもらうNIBなど、これからさらに、県民と新聞との出合いの場をつくり距離を縮める努力は欠かせないだろう。

 今年の新聞週間の代表標語は「新聞を開いて僕は世界を知った」。徳島市の中学生の作品だ。本県からは宮崎市・与那嶺節子さん(72)の「生き方はひとつじゃないと知る紙面」が選ばれた。新聞に寄せられる読者の期待に応え、地域とともに歩む。この志をあらためて確認する機会でもある。

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