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関電会長辞任

2019年10月12日
◆国会中心に調査体制整えよ◆

 関西電力の八木誠会長が辞任した。自らをはじめとする役員ら20人が高浜原発のある福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていた問題の責任を取った。岩根茂樹社長も、関電が近く発足させる第三者委員会が年内に取りまとめる調査結果を待って辞任するとしており、大手電力10社でつくる電気事業連合会の会長職からも退く。

 2人とも当初、原因究明や再発防止を理由に続投の意向を示したが、世論は厳しさを増した。政府内からも批判が相次ぎ、外堀を埋められた形だ。

 国策として再稼働を推進する政府が疑惑解明に大きな責任を負うのは言うまでもない。しかし安倍晋三首相は国会で「第三者の目を入れて徹底的に全容を解明することが不可欠」と通り一遍の答弁に終始している。

 捜査機関による刑事責任追及には高いハードルがある。関電が設置する第三者委の調査にしても、強制力を伴わない調査では限界があろう。政府、国会を中心として早急に調査体制を整え、八木氏らの参考人招致や関電への資料請求など、あらゆる手を尽くし、原発利権にメスを入れなければならない。

 関電は今月、昨年9月に社内の調査委員会がまとめた報告書を公表。今年3月に90歳で死去した高浜町元助役の森山栄治氏から役員ら20人が総額3億1845万円相当を受け取っていた―などと説明した。

 その後、森山氏と関係が深く関電から入札を伴わない「特命発注」を受けていた地元建設会社が直接金品を渡したケースもあることが分かり、原発マネー還流の疑いが強まった。森山氏が相談役をしていた兵庫県の会社社長が自民党の世耕弘成参院幹事長に献金したことも明らかになった。報告書は森山氏について「国会議員に広い人脈を有している」と記述。金品の流れはまだ広がるかもしれない。

 関電の役員らが刑事責任を問われる可能性はある。地元建設会社への発注額を上乗せし、その分を自らに還流させていたなら、会社法の特別背任罪が適用される。また不正な行為をするよう依頼され、見返りに利益を得たのであれば、やはり会社法の収賄に当たる。

 しかし報告書は、役員らが自身や第三者の利益を図る目的ではなく、森山氏のどう喝を恐れて金品を受領したとし「発注プロセスや金額に問題はなかった」と結論付けた。森山氏は亡くなっており、この主張を切り崩すのは難しいとみられる。

 野党が関電役員らの国会招致を求めたが、自民党は「民間企業の不祥事で招致をした前例はない」と拒否。だが原発政策の根幹に関わる問題だ。解明へ踏み出すことを考えるべきだ。

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