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氷河期世代就労支援

2019年10月5日
◆地域で人材育てる視点を◆

 バブル崩壊後の不況下で就職の機会に恵まれず、今なおその影響を引きずる「就職氷河期世代」の集中支援を国が打ち出した。この世代に多い非正規歴の長い人や、引きこもり状態にある人を対象に全国のハローワークに専門窓口を設けたり、資格取得を促したりして3年間で正規雇用者30万人増を目指す。

 県内の主な支援拠点は、みやざき若者サポートステーション(宮崎、延岡、都城市、通称サポステ)とヤングJOBサポートみやざき(宮崎、延岡市)。対象は原則40歳未満だが、サポステでは40歳以上からの問い合わせが増えており、ヤングJOBサポートみやざきでも既卒者からの相談が相次いでいる。受け皿の拡充は朗報だ。

 近年の雇用環境の改善を受け、35~44歳のフリーターなど非正規の数は減少。しかし、同じ年齢層の無業者数は横ばいで本県では約5千人とされる。個人の意思によらず不安定な就労を余儀なくされた氷河期世代だが、無業または早期離職・転職を繰り返すことによって、能力を開発する機会や職歴が乏しくなりがちだ。その結果、売り手市場の現在でも恩恵を受けにくい側面がある。

 サポステは来年度から「サポステ・プラス」とし、おおむね50歳まで対象が拡大される方針だ。サポステ総括コーディネーターの小原尚美さんは「長年引きこもりが続いてきた人と、非正規で転職・離職を繰り返してきた人への支援は全く違う手法になる。しかし、自己肯定感を高めるための支援が必要という点では共通する」と話す。就労への一歩を踏み出し定着を図るため、福祉的な観点も併せ、一人一人への丁寧なフォローがさらに重要になるという。

 ヤングJOBサポートみやざき支援コーディネーターの安藤敏彦さんは、企業の採用力と人材育成力が鍵になると指摘。「新卒一括採用の慣行が緩和されなければ、彼らは入り口にも立てない」とし、「就労体験に行って『ありがとう、お疲れさま』と声を掛けられただけで前向きになれる若者を多く見てきた。職場で、地域全体で人を育てる視点を持ってほしい」と話す。

 「働きたい」と切望する潜在的な人材活用に向け、行政と企業、福祉と雇用など垣根を越えて連携を図りたい。企業は氷河期世代を含め多様な人材を確保し、育成する仕組みを築くときだ。こうした取り組みを後押しする地元自治体の支援も拡充が欠かせない。

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