ホーム 社説

ふるさと納税

2019年9月13日
◆抜本見直しは避けられない◆

 ふるさと納税の新制度から、大阪府泉佐野市が除外された問題を審査した第三者機関「国地方係争処理委員会」が、除外決定の再検討を総務相に勧告した。同市への「見せしめ」的な対応に違法の可能性も指摘され、事実上、総務省側が「敗訴」した。

 ふるさと納税制度の寄付集めで自治体間の返礼品競争が過熱するのを受けて、総務省は2017年から18年にかけて「調達費は寄付額の30%以下」「返礼品は地場産」とするよう求めた。しかし、法的拘束力のない通知としたため、無視を決め込む自治体が相次いだ。

 業を煮やした総務省は今年6月、これらを法定基準とし、参加自治体を国の指定制にした。この間、同省を最もいら立たせたのが泉佐野市だった。

 地域性のないインターネット通販「アマゾン」のギフト券を高い還元率で贈るなどして18年度は全国の寄付総額のほぼ1割もの497億円を獲得。19年度に入っても新制度間際までギフト券の返礼を続けた。その結果、やはり総務省が目を付けた他の3町と一緒にふるさと納税の対象から外され、泉佐野市だけが審査を申し出ていた。

 勧告は訴え通り、新制度開始前の泉佐野市の寄付募集は、その時点において違法ではなかったと認めた。ただ、「金銭的対価の割合の高さをことさら強調」「制度の存続が危ぶまれる状況を招いた」と批判した部分があった。同市は確かに行き過ぎであり、通知に従った自治体には不公平感も残っている。

 一方の総務省にとって、自治体運営への国の介入は最低限にとどめる地方自治法の原則に抵触する恐れを指摘されたのは、地方分権の旗振り役として痛恨だろう。そもそも、ふるさと納税で税収の東京一極集中是正をもくろんだ総務省も、これほどの過熱は予想外だったのだろう。見通しの甘さで対策が後手に回った感は否めない。

 「故郷を応援」といったうたい文句がかすむ「お得な制度」に変質したのは、世知辛いご時世の反映だろうか。総務省に背いて寄付の争奪に躍起になる自治体が現れるのも、それほどに地方財政が追い込まれている証左ではないか。初めから寄付者と自治体の動向を予見して制度を仕組むべきだった。

 勧告は、10月4日までに再検討の結果と理由を泉佐野市へ通知するよう総務相に求めている。引き続き同市を外すか、復帰させるのか。いずれにしても、開始から10年を超えた制度はいびつに膨張しており、抜本的な見直しが求められる。場合によっては返礼品をなくすことも選択肢に、本来の趣旨に立ち返る必要がある。

このほかの記事

過去の記事(月別)