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復興庁存続

2019年9月3日
◆防災担う組織へ再編検討を◆

 東日本大震災からの復興を進める「復興庁」が現体制のまま存続することが決まった。政府は2021年3月末までの設置期限を延長するため、来年の通常国会に関係法改正案を提出する方針という。

 被災地では、三陸沿岸の復興道路の整備が進み、来年には常磐線が全面再開する。ハード整備は進むが、急激な人口の流出もあって、住宅の需要が当初の想定以上に減り、開発した土地が未利用となる例も目立つ。

 福島第1原発事故によっていまだに約5万人が避難生活し、廃炉事業は30~40年かかる。復興を成し遂げる意志を示すためには、その使命を担う組織を維持することは当然だと言える。

 ただ、復興庁の後継組織を巡っては、全国知事会が復興と防災を合わせた「防災省」、公明党も一時期「復興・防災庁」の創設を主張。大規模災害に備え、事前の減災対策から復興まで一元的に担う司令塔の必要性を指摘する声が高まっていたが、これに対し、首相官邸は復興庁の存続を判断した。

 この場合、次の点で早急な組織変更を提案しておきたい。復興庁が東日本以外の大規模な地震などからの復旧・復興の仕事も担うこと、防災・減災、緊急対応の役割を持つ組織を強化することだ。今の枠組みでは、首都直下地震や南海トラフ巨大地震が発生した際、法律を作り新たに復興庁を立ち上げる必要がある。これで迅速な復興ができるのか、東日本の復興ノウハウを承継できるのかは疑問だ。

 3年前の熊本地震、昨年の北海道地震の被災地では、復旧・復興を支援する国の窓口となる組織を求める意見もあった。毎年のように起きる深刻な河川の氾濫や土砂災害の被害を受けた自治体も同様に考えるだろう。これらから大規模災害からの復旧・復興は、東日本と同様に国がワンストップで対応できるようにすべきだ。

 現在の災害像は随分様変わりした。建物の倒壊や火災だけでなく、インターネットやコンピューターが停電などで使えないことによる社会機能のまひ、サプライチェーン(部品の調達・供給網)の途絶による経済影響など多様化、広域化している。対応するためにも防災機能の強化は待ったなしである。

 第1段階として、防災を専門とする職員を育て十分な予算を確保するため、独立した「防災庁」の設置を求めたい。今後、存続する復興庁の仕事のうち、福島以外での復旧・復興事業の企画や立案は減り、数年後には組織、人員の削減議論も起きるだろう。その段階で、復興庁とこの防災庁を統合し、復興・防災を担う新組織の創設を真剣に議論すべきである。

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