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食料自給率過去最低

2019年8月21日
◆供給県として食を担いたい◆

 2018年度のカロリーベースの食料自給率が過去最低の37%となった。政府は自給率を25年度に45%に高める目標を掲げているが、達成は不可能に近いと言わざるを得ない。食料自給率の向上を農政の重要目標とすることを維持し、本県をはじめとする生産地を守り育てる方策を考えなければならない。

 18年度は天候不順で小麦や大豆の国内生産量が大きく減少したため、カロリーベースの食料自給率は、前年度から1ポイント低下した。コメの記録的な凶作が起きた1993年度と並ぶ最低水準だ。

 日本の食料自給率は65年度まで70%を超えていたが、長期的な低下を経て、最近は横ばい傾向で推移しており、上昇の気配は見えない。その原因と考えられるのは、担い手の減少など農業の構造的な問題に加え、食生活の大きな変化だ。コメ離れが進み、肉や乳製品などを多く食べるようになってそれらの輸入が増え、畜産用の飼料穀物の輸入も拡大した。

 食料自給率は海外からの食料輸入が増えると低下する。肉など畜産物は、国産であっても、餌の一部を輸入に頼っていれば、その部分はカロリーベースでは輸入品とみなされる。飼料穀物の輸入増加は自給率低下の一因となった。

 政府は2010年の「食料・農業・農村基本計画」ではカロリーベースの食料自給率目標を「20年度までに50%」としていたが、15年改定の同計画では実現可能性を考慮して「25年度までに45%」に引き下げた。

 農林水産省は国産農産物の生産振興や消費拡大を通じて自給率の向上を図る方針だが、農業と食生活の現状を見ると、45%も現実的な目標とは思えない。自給率のこれ以上の低下を防ぐのが精いっぱいではないか。

 日本の食料自給率の低さを嘆き、自給率の向上を求める声は多い。その最大の論拠とされるのが、食料安保論である。自給率が低いと、海外の戦争や凶作などの非常事態で食料輸入が途絶えたとき、食料不足に見舞われる恐れがある、といわれる。

 しかし、現代日本でそのような食料不足が発生する可能性は小さい。世界に多様な食料輸入先を確保しておけば、仮にある国からの食料輸入が停止しても、別の国から食料を輸入できるからだ。

 ただ、全国有数の食料供給県として自給率低下を傍観はできない。本県の17年度の食料自給率は65%で、この約20年間は約6割を推移している。自給率向上は不測の食料危機に備える観点だけではなく、地元農業の生産力を高め、多様な食材を確保する意味でも重要になる。食を担う機能の充実が求められる。

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