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ホルムズ警護 有志連合

2019年8月10日
◆緊張緩和に向け外交努力を◆

 来日した米国のエスパー国防長官が岩屋毅防衛相と会談し、中東・イラン沖ホルムズ海峡を航行する船舶の安全確保に向けて、米国が結成を呼び掛けている「有志連合」への参加を求めた。米国とイランの対立で緊張が高まるホルムズ海峡は、日本が中東から輸入する原油のほとんどが通過するエネルギー供給の「生命線」であり、日本関係のタンカーなどの安全確保は確かに重要な課題だ。

 ただ、米主導の連合が「対イラン包囲網」となれば地域の緊張は逆に高まることにならないか。日本が長年築き上げてきたイランとの友好関係にも影響するだろう。米国の圧力に焦ることなく、日本政府として慎重に対応を検討すべきだ。まず尽くすべきなのは、イランとの友好関係も生かした、地域の緊張緩和に向けた外交努力だろう。

 ここにきて、イランに接するペルシャ湾を避け、イランから約2200キロ以上離れるアラビア半島南部イエメン沖に自衛隊を派遣する案が浮上した。米国とイラン双方に配慮した苦肉の策といえる。最終的には欧州など各国の動向も見極め対応を固める方針だ。

 米国が有志連合結成の考えを表明したのは7月上旬。米国が求めるのは、海上を監視するための艦船や航空機などの派遣や、中央指揮所への要員派遣と資金の拠出などとされる。これまでに参加を表明したのは英国だけ。欧州主導の護衛体制を検討していた前政権の方針をジョンソン新政権が転換した。しかし、ドイツは不参加を表明。ほかの各国も様子見の状態だ。

 背景には、緊張を招いたのが米国の側だという要因がある。イランの核開発を制限するためにまとめられた核合意から一方的に離脱し、制裁を復活させたのはトランプ大統領だ。日本政府も現時点では慎重な姿勢だ。

 有志連合への自衛隊派遣を検討するとしても、現行法では難しい。想定される対応は、自衛隊法に基づく「海上警備行動」や、現在ソマリア沖で実施している海賊対処法に基づく「海賊対処行動」。2016年3月に施行された安全保障関連法の「存立危機事態」や「重要影響事態」と認定した上での派遣や、「国際平和支援法」での他国軍の後方支援などがある。

 米国とイランが戦闘状態に入ったわけでもない現在の情勢を、日本の存立が脅かされる「存立危機事態」と認定するのは無理があるだろう。もちろん法律を拡大解釈したり、事実認定をねじ曲げたりするのは禁物だ。米国の求める具体的な活動と狙い、イランの反応と各国の対応。これらの情報を分析し、情勢をしっかりと見極めなければならない。

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