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参院選

2019年7月22日
◆政治への信頼回復急ぎたい◆

 第25回参院選は即日開票の結果、宮崎選挙区で自民党現職の長峯(ながみね)誠氏=公明党推薦=が再選した。野党統一候補として立候補した立憲民主党新人の園生(そのう)裕造氏=社民党推薦、国民民主党支持、共産党支援、「第三の選択肢」を訴えた諸派新人で政治団体・幸福実現党県統括支部長の河野(こうの)一郎氏に大差をつけた。次点の園生氏は野党が結集しようやく擁立にこぎ着けた落下傘候補だったが、保守王国の壁は厚かった。

不祥事頻発し失望感

 全国では自民、公明両党が改選124議席の過半数を獲得した。政権への中間評価と位置づけられる参院選で問われたのは、約6年半におよぶ第2次安倍政権だ。近年、公文書の改ざんや公的データの不正などが頻発し、民主主義の土台を崩しかねない事態が続いた。忖度(そんたく)風土や組織的隠蔽(いんぺい)のまん延も、安倍晋三首相の1強体制によってあぶり出された問題点だ。

 その体質や政治手法に対する審判を下す選挙だったが、宮崎選挙区の投票率は41・79%で、過去最低となった。

 前回2016年の選挙区での自民、公明の与党の得票数は全有権者の25・3%。「1強」とは言うものの、低投票率が続く国政選挙で、全有権者の4分の1程度にとどまる得票で圧倒的多数の議席を占めているのが実態だ。今参院選でも同様で、これでは健全な民主主義の姿とは言えない。

 有権者の側も、意思を表明する貴重な機会を生かし切れなかった。不祥事の解明や信頼回復に積極的に動かず、逃げの姿勢ばかりが目立つ政治。その貧困さに有権者は「またか」と失望感を膨らませ、諦めの境地に至った人が多いのではないか。

 地方組織が弱体化し、候補者擁立に手間取った野党は受け皿になれなかった。負託を受けた新議員は現状を認識し、向き合っていかなければならない。

将来の安心が最優先

 今参院選では、安倍政権下での憲法改正に前向きな「改憲勢力」が国会発議に必要な3分の2以上の議席を維持するかどうかも焦点だった。割り込んだものの、過半数の議席獲得に国民の信任を得たとして改憲論議を加速させる狙いが見え隠れするが、国民の間で機が熟しているとは言いがたい。

 宮崎選挙区の選挙戦でも改憲についての論争は深まらなかった。むしろ、有権者が重視したのは社会保障、雇用など経済政策、地方の活性化策などだ。宮崎日日新聞社が選挙戦終盤に実施した世論調査では公的年金制度について、県内回答者の65・5%が「信頼できない」と回答。10月に税率10%へ引き上げられる消費税については55・3%が増税反対とした。

 高齢者から現役世代、将来世代に高まる不安感の解消が最優先課題になる。政治への信頼があってこそ、国民の安心は成り立つ。国会での情報公開と徹底した議論が求められている。

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