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プラごみ対策

2019年6月6日
◆大量焼却の政策から変革を◆

 ペットボトルやレジ袋などの使い捨てプラスチックによる環境汚染が深刻だ。安倍晋三首相は今月に大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会合で、中国やインドなどを含め、海のプラスチックごみ対策強化で合意することを目指す。それに先立ち、原田義昭環境相は記者会見し、レジ袋の無償配布を一律に禁じる法令を制定する方針を表明した。政府や自治体、企業の対策が進んだ海外に対し、日本国内の取り組みは遅れている。プラごみ削減に向け、本腰を入れる機会だ。

海外に比べ鈍い動き

 国連などによると、世界のプラごみの排出量は年間3億トン超で、その半分弱が包装容器だ。800万トンが海に流出しているという。

 既に多くの国が対策に動きだした。昨年、国連環境計画などが発表した報告書によると、プラスチック製レジ袋の無料配布を法律で禁止したのは83カ国に達し、ストローなど特定の使い捨て製品の使用を禁じたのも27カ国に上る。

 欧州連合(EU)の閣僚理事会は、使い捨てプラスチック食器や発泡スチロール容器を禁止する新規則案を承認。2021年までに加盟各国で法制化される。規制は中国や韓国でも始まり、台湾も30年までに、使い捨てプラスチックを禁止する方針だ。

 G20に向け、国内対策強化のため、政府は国内のプラごみ大幅削減を目指す「プラスチック資源循環戦略」と、海岸漂着ごみ対策の新たな基本方針を正式決定したばかりだ。しかし、レジ袋有料化義務付けや、使い捨てプラスチック排出量を30年までに25%削減する目標などを盛り込んだものの、この内容では諸外国に比べて見劣りするのは明白だ。

使用量の削減が先決

 日本は世界有数の使い捨てプラスチック消費国である。ペットボトルの年間出荷本数は227億本で、1人当たりでは世界平均の約3倍。レジ袋の消費量は年間300億~500億枚とされる。至る所にコンビニや自動販売機が並ぶという世界的にもまれな状況が背景にある。日本で毎年出る900万トン超のプラごみのうち、約70%が焼却され、リサイクルに回るのは25%程度にすぎず、しかもその多くが海外輸出されている。

 地球温暖化防止のためのパリ協定は、二酸化炭素を出さない「脱炭素社会」の実現を求めている。有害廃棄物の国際的移動を規制するバーゼル条約の締約国会議で、リサイクルが難しいプラごみ輸出を規制する条約改正も決まった。大量生産・大量消費の末の大量焼却とごみ輸出に支えられた日本の政策は、今や行き詰まり、根本からの変革を迫られている。

 使用規制や有料化、課税などを通じて使用量の削減を進めることが先決だろう。ペットボトルや食品容器の再利用の拡大、石油由来でなく環境影響の少ない代替品の開発と普及も重要だ。消費者の意識改革も欠かせない。

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