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沖縄本土復帰47年

2019年5月18日
◆地位協定抜本改定が必要だ◆

 1972年の沖縄本土復帰から47年がたった。敗戦後、米国の施政権下に置かれた沖縄では復帰によって初めて日本国憲法が適用されるようになった。同時に日米安全保障条約と在日米軍の法的地位を定めた日米地位協定の適用も始まった。本土復帰を願った沖縄の人々の運動には「日本国憲法の下へ」という強い思いがあった。戦争放棄、国民主権、基本的人権の尊重という憲法の理念の実現を求めたからだ。

今も重い基地の負担

 だが現状はどうだろう。在日米軍専用施設は沖縄に集中し、地位協定に守られた米軍に絡む事件・事故は後を絶たない。さらに、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を巡り、安倍政権は沖縄の民意を顧みない対応を続けている。人権尊重など憲法の理念が侵されていると言わざるを得ない。

 玉城デニー知事は今年の憲法記念日の談話で「県民は熾烈(しれつ)な沖縄戦や米軍施政下の苦難の歴史を通して、平和と人権の尊さを肌身で感じている」と強調、「全ての人の尊厳を守る『沖縄らしい優しい社会』を実現する」と表明した。

 復帰の日に当たり、この1年を振り返ろう。故翁長雄志前知事は昨年の復帰の日、米軍施設が集中する現状を指摘し、地位協定が壁となって事件・事故に悩まされ続けているとの談話を出した。その状況は何も変わらないどころか、沖縄に対する政権の対応は強硬さを増している。

 沖縄は声を上げ続けている。翁長氏の急死に伴う昨年9月の県知事選では辺野古移設反対を訴えた玉城氏が圧勝。今年2月の県民投票では辺野古埋め立て「反対」が72・2%に上った。

民意を無視する政府

 だが安倍政権は昨年末、辺野古埋め立ての土砂投入に踏み切った。安全保障政策は国の専権事項だとしても、沖縄の主権者の声を無視し不利益を押し付けるのは、まっとうな民主主義と言えるのか。

 全国の憲法学者の有志は今年1月、声明を発表し、辺野古移設の強行は「基本的人権の尊重や平和主義、民主主義、地方自治という憲法の重要な原理を侵害、空洞化するものだ」と指摘した。

 背景にあるのが、米兵犯罪に対する米側の優先的な裁判権や米軍機への航空法の適用除外などを定めた地位協定だ。県によると、復帰から昨年末までに米軍人らによる刑法犯罪は約6千件、航空機関連事故は786件も起きている。

 沖縄県は今年4月、ドイツやイタリアなど欧州4カ国が結ぶ地位協定の現状を調査した報告書を公表した。それによると、いずれの国も駐留米軍に自国の国内法を適用していた。日米地位協定との違いは明確だ。

 地位協定は沖縄だけの問題ではない。全国知事会も昨年7月、地位協定の抜本的見直しを政府に提言した。政府はこれまで運用の見直しなどで対応してきたが不十分だ。抜本的な改定が必要だ。

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