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巨大IT企業規制

2019年5月17日
◆利便性とのバランス必要だ◆

 「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業に対する政府の規制強化案がまとまった。契約条件の開示を義務付け、違反企業への行政指導を可能にする法律の整備が柱だ。具体策を今夏に策定する成長戦略に盛り込む。

 頭文字から「GAFA」と称されるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・コムの4社などによる個人情報の寡占や、取引業者に対する不当な行為を防止することが目的だ。

G20でも主要議題に

 さらに、世界市場で展開するデジタル事業に対する課税方法についても検討。政府は議長を務める6月の20カ国・地域(G20)首脳会合で、規制強化策と併せて主要議題として提示し、国際的な協調を主導したい考えだ。

 規制強化や課税の適正化は喫緊の課題であることは間違いないが、プラットフォーマーがデジタル技術によって新市場を切り開いて世界経済の成長をけん引し、その成果が人工知能(AI)などの形で自動運転技術開発などに活用されていることも事実だ。

 市場規律を乱していることは看過できないが、過度な規制を敷くことで、その新規性や創造性が失われることは好ましくない。バランスの取れた対応を望みたい。

 スマートフォンやパソコンなどを通じたインターネット通販、ホテルなどの予約、会員制交流サイト(SNS)、キャッシュレス決済などは個人生活、企業活動などに広く深く浸透し、もはや巨大IT企業が提供するサービス抜きでは社会が成り立たないほどだ。

 その利便性は人々の生活を豊かにし、企業のビジネスチャンスを広げたが、近年になって負の側面が目立ってきた。

 国際的に注目されたのはフェイスブックの個人情報の漏えいだ。2016年の米大統領選に絡み最大8700万人分が流出し悪用された。

個人情報扱いに不安

 ネット通販などを利用する消費者は一定の個人情報を登録する必要がある。さらに利用するたびに検索、購買履歴などのデータが蓄積される。プラットフォーマーはこうして収集した膨大なデータを分析し、個人の嗜好(しこう)に合わせた広告を送るビジネスなどを展開し好業績を上げている。だが、この個人情報の扱いについて消費者に正確に説明しているとは言えず、自分の個人情報がどう活用されているか不安を抱く消費者も多い。

 プラットフォーマーは稼いでいる巨額利益に見合った納税をしていないともみられている。

 法人税は、工場などの物理的拠点がある国で納税するのが基本だが、デジタル事業の場合は、そうした設備は必要なく、海外からのネット配信だけで事足りる。こうしたビジネスに、どう課税するのか。その国での売上高を基準とするなど拠点の有無にかかわらない方式が検討されている。善処するには国際協調が欠かせない。

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