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日向灘震源の地震

2019年5月14日
◆減災の取り組み加速したい◆

 日向灘を震源とする地震が県内各地で断続的に発生した。10日に宮崎、都城市で震度5弱の地震が起きて以降、11日は延岡市で震度4、12日は同市と高千穂町で震度2を観測。日向灘が本格的な活動期に入ったとの見方を示す専門家もおり、引き続き警戒が必要だ。子どもや高齢者ら移動に時間がかかる人が利用する施設はもとより、家庭や職場でも早急に安全確保を確認しておきたい。

引き続き注意が必要

 県内で震度5弱以上を観測したのは、2016年4月の熊本地震以来。日向灘を震源とする震度5弱の地震は23年ぶりだ。人的、住宅被害は確認されていないが、JRや高速道路に一部で乱れが出たほか、宮崎市では水道管が破損。商業、観光施設の多くが開場前の時間帯だったため、けが人がいなかったのが幸いだった。

 気象庁は10日の記者会見で、大陸側のユーラシアプレートが太平洋側のフィリピン海プレートに乗り上げる「逆断層型」地震とする見解を示した。3月27日に発生した日向灘を震源とする地震も、この逆断層型だ。日向灘は南海トラフ巨大地震の想定震源域内ではあるが、同庁は「直接、巨大地震につながるものではない」と分析。ただ、「発生から1週間程度は最大震度5弱程度の地震に注意してほしい」と呼び掛けた。

 今回の地震では津波は発生しなかったが、震度6強レベルの場合、本県では津波への備えも忘れてはならない。東日本大震災では、宮城県石巻市立大川小の児童らが学校近くの裏山に避難せず犠牲になるなど津波被害が甚大だった。この痛ましい記憶を遠い場所の過去の出来事とせず、自らに置き換えて防災対策を講じてほしい。最悪の事態を想定し、人々の命を守る知識と技術を構築しておくことが大切だ。

まずは自助を前提に

 犠牲者を減らすには早期避難が鍵を握る。にもかかわらず、県が沿岸10市町の津波浸水想定区域に住む住民らを対象に18年に実施した調査では、大きな地震が発生した際に早期に避難すると答えた人は37・9%にとどまった。一方、「避難しない」と回答した人は19・7%で、年齢が上がるにつれて割合が高い傾向に。避難しない理由は「自宅の方が避難所より安全」「体力や健康上の理由から避難が困難」が目立った。

 災害への恐れはあるものの、それを行動に移すかどうかは個人差があるようだ。災害に直面したときにどう行動するのかを家族らと事前に話し合い、実際の行動につなげてほしい。減災のためにはまずは自助が前提で、一人一人の意識が問われる。さらに、共助の仕組みも重要になる。食料品の備蓄、建物やブロック塀などの耐震化、避難場所や経路の確認など、地域で減災に向けてやるべきことは多くある。今回の地震を機に、取り組みを加速させなければならない。

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