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成年後見制度

2019年5月9日
◆利用拡大へ中核機関設置を◆

 認知症や知的障害などで判断力が十分ではない人を支援する成年後見制度を巡り最高裁は、本人の財産から後見人に支払われる報酬の算定方法を見直すよう促す通知を全国の家庭裁判所に出した。現在は家裁が財産額に応じて決めるが、生活支援に重点を置き、業務量や難易度を反映させる。

 多くの場合、後見人は弁護士や司法書士などの専門職。報酬の仕組みが不透明で高いと利用者らに不満の声が広がっていた。また後見人について、利用者側の意向や生活状況の変化に合わせて柔軟に交代を認めたり、利用者本人をよく知る親族らの選任を優先したりする考えも示している。

県内で進む体制整備

 厚生労働省の推計では、認知症の高齢者は2015年に520万人となり、団塊の世代が75歳以上となる25年には高齢者の5人に1人に当たる700万人に達する。後見人はますます重きを成すとみられるが、制度の利用者は18年末の時点で21万8千人にすぎない。

 利用拡大の鍵になりそうなのが、全国の市町村で利用者や親族の相談に乗り、家裁や後見人とも連携する中核機関の設置だ。政府が策定した成年後見利用促進計画で、17~21年度に市区町村が設置するとした。ところが昨年10月時点で、全1741市区町村のうち設置済みは4・5%の79自治体にとどまる。基盤整備を加速させなければならない。運用改善の成否もそこにかかっている。

 県長寿介護課医療・介護連携推進室によると、延岡と高千穂、日之影、五ケ瀬の1市3町が10月をめどに中核機関を設置する予定。宮崎と国富、綾の1市2町が20年度設置に向け準備を進め、都城市が検討中という。同室は「隠れたニーズを拾い上げ必要な支援につなげる点から設置は大変重要。県内どこに住んでいても県民が権利擁護の支援を受けられるよう、体制整備に向けて市町村に呼び掛けていきたい」としている。

チェック強化が必要

 成年後見制度は民法などの改正を経て00年に導入された。本人や配偶者、親族、自治体などの申し立てにより家裁が弁護士や司法書士などの専門職、親族から後見人を選ぶ。報酬に全国一律の基準はなく、東京家裁の場合は基本額が月2万円で、管理する財産が多くなるほど上がっていく。

 だが利用者から「何もしてくれない」との声があり、厚労省が知的障害者施設を調べると、後見人が本人に面会に来る頻度は「年1~2回」「ほぼ来ない」が4割近くに上った。このため財産管理に偏った算定方法を改め、生活支援を重視。個別の業務実績に応じ報酬を支払うことにした。

 後見人の6割以上は専門職だ。制度発足当初は親族が多かったが、親族による着服などが相次ぎ、専門職が増えた。ただ専門職の不正も後を絶たない。チェック体制を強化し利用拡大に努め、高齢社会の安心につなげたい。

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