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日産臨時株主総会

2019年4月10日
◆新たな体制で権限分散図れ◆

 日産自動車は臨時株主総会を開き、会社法違反(特別背任)の疑いで再逮捕された前会長のカルロス・ゴーン容疑者らを取締役から解いた。強い指導力でけん引した「ゴーン体制」から完全に決別。筆頭株主であるフランス自動車大手ルノーのジャンドミニク・スナール会長を取締役に選任し、新体制での再出発を期す。同社の「ガバナンス(統治)改善特別委員会」がまとめた最終報告は、統治機能の立て直しに向け、社外取締役の積極的な活用を柱とする改革を進めるよう求めている。日産は趣旨を踏まえ、新たな体制を構築しなければならない。

説明責任が不十分だ

 前会長への権限集中が不正の温床となったことを考えれば、権限を分散し、社外取締役が独立した立場からコンプライアンス(法令順守)などの状況を客観的に評価する仕組みは一定の効果が期待できるだろう。前会長の逮捕で明るみに出た統治不全の克服に向け、土台となる提言だ。

 側近として前会長に仕えながら不正を見抜けなかった西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)らが経営の中枢を担い続けることの妥当性については議論があるだろう。臨時株主総会でも西川氏らの責任を問う厳しい意見が飛び交い、西川氏が「責任は非常に重く受け止めている」と発言する場面もあった。リーダーを失った巨大組織の運営に継続性が重要なことは認めるが、西川氏らの責任は否定できない。特別委はこの点を不問にしているが、株主や市場、取引先などへの説明責任がある。

 特別委が示した改革の基本的な考え方は、業務執行と監督の分離だ。それを実現するための措置として、社長兼CEOに執行を、取締役会議長に経営監督を担わせる仕組みを打ち出した。前会長が持っていた権限を二分し、別々の人間に担わせる形だ。

日仏連合のぜい弱さ

 前会長が権力を掌握した最大の力の源泉は役員人事や報酬についての決定権で、経営が迷走する原因となった。再発を防止するため、統治形態を会社法で定めた「指名委員会等設置会社」に改める。役員人事や報酬などを、社外取締役が過半数を占める3委員会が決める仕組みで、複数が関わることで客観性が担保される。

 日産とルノーの関係は、世界で最も成功した自動車大手の提携と称賛されたこともあったが、前会長逮捕後は提携についての考え方の違いが表面化。日本、フランス政府も巻き込んだ混乱は、日仏連合のぜい弱さを露呈した。

 この間、トヨタ自動車などは人工知能(AI)対策強化などを相次いで打ち出したが、三菱自動車も含めた3社連合は内部統治の修復に追われ、前向きの経営戦略に十分に取り組めなかった。自動車産業が大きく変革する時代に、貴重な時間を浪費した影響は大きい。巻き返しを急ぎたいが、まずは足元を固めることが先決だ。

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