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本県の外国人材

2019年2月7日
◆地域産業の貴重な支え手だ◆

 あと2カ月足らずで改正入管難民法が施行され、新たな在留資格の「特定技能」による外国人労働者の受け入れが始まる。人手不足に悩む介護や農業、製造業など14分野で今後5年間に最大34万5千人になると見込まれる。政府は日本で働き、暮らすことになる外国人との共生をうたい、生活や雇用、社会保障、日本語教育などの支援策を示したが、人員や予算の手当てはこれからというものが多く実現への道筋は見えてこない。

関係築いた外浦漁協

 日本で働く外国人はこの10年間で3倍に増え、昨年10月時点で146万人。今や外国人抜きで日本経済は成り立たないといわれ、これまで医師など「高度な専門人材」に限ってきた在留資格を、単純労働を含む分野にまで広げないと立ちゆかなくなるだろう。

 その中で忘れてならないのは、「特定技能」への移行が多く見込まれる技能実習生の存在だ。昨年10月時点で技能実習生は過去最多の約30万8500人、全体の21・1%に上る。県内では前年同期比19・5%増の2800人。在留資格のある外国人のうちに占める割合は全国トップだ。本来は新興国への技術移転が目的だが、若者の県外流出や第1次産業の担い手不足が深刻な現状では、もはや地域や産業の維持に欠かせない貴重な支え手と言える。

 日南市南郷町の外浦漁協は1993年に導入し、フィリピンから11人、続いてインドネシアから約420人の実習生を受け入れてきた=写真。同漁協関係者が直接現地を訪れて採用活動を行い、採用が決まると実習生は言葉や生活習慣、漁業などを学んで実習に備える。現在は18~24歳の55人が主にカツオ一本釣り漁に従事。船主が準備した民家に共同生活し、船主やその妻らがサポートする。ジャイラニ・アブドゥラさん(24)は「漁から戻ると、近くのおばあちゃんが『お帰り』と声を掛けてくれたり、地域の祭りに参加したりするのがうれしい」と話す。

共生への施策展開を

 導入以来、実習生との相互の協力関係構築に尽力してきた同漁協の取り組みは、地域住民や行政、他漁協との連携あってこそだ。外国人材の支援策を模索する他自治体にとってもモデルケースになるだろう。都道府県レベルでも受け身ではなく、外国人を社会の一員として受け入れる視点から、より積極的な施策展開が必要だ。

 しかし、どう見ても準備不足だ。全国100カ所の自治体に多言語で行政・生活情報の提供や相談を行うワンストップセンターを設置するという。国が財政支援をするとはいえ、医療や雇用など幅広く対応できる通訳確保が必要になる。また、賃金の高い大都市に外国人材が集中してしまうという地方の懸念にも、十分な解決策は示されていない。ほかにも積み残しになっている課題は多い。目の前にある疑問や不安に、政府は早急に答えを出す必要がある。

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