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日南市合併10年

2019年1月11日
◆「三本の矢」の志に立ち返れ◆

 幼児から80代の高齢者まで約千人が秋晴れの下、競技に応援に気持ちを一つにした。昨年10月末、日南市の北郷小中グラウンドで開かれた北郷大運動会=写真。旧北郷町時代の昭和30~40年代に始まり、町民同士をつなぐ機会として毎年開催されていた。平成に入ってからは2年に1回となり、町制50周年を記念した2008年が旧町としては最後に。昨年は日南市との合併10周年を目前に控え、5年ぶりの開催だった。「絆を再確認し、日南の次の時代へ思いを新たに」との願いが込められた。

衰退の波は市全体に

 日南市と北郷、南郷町が09年3月に合併して新・日南市が誕生し、今年は10周年の節目となる。3市町の合併を巡っては一度は破綻するなど紆余(うよ)曲折あったが、それを乗り越えての対等合併。新市には県内に誇る農林業と漁業、観光資源と歴史があり、当時「三本の矢」にも例えられた。そのとき描いていた古里の未来は今、市民の目にどう映っているか。

 旧3市町ごとの比較で見た場合、いずれもこの10年間で人口減少と高齢化が大きく進んだ。旧日南市は合併時約4万3700人(高齢化率30・7%)だった人口が現在約3万9600人(同37・3%)。旧北郷町は約4800人(同33・9%)が約4200人(同42・5%)、旧南郷町は約1万1200人(同30・0%)が約9600人(同39・9%)。合併当初は日南地区への集中と、それに伴って周辺地域である北郷、南郷地区の埋没を不安視する声もあった。が、10年後の現実は、市全体を衰退の波がのみ込もうとしている。

知恵と連帯で打開を

 県内市町村の17年度決算を見ると、歳出に占める義務的経費の割合を示す経常収支比率が最も高かったのは日南市の95・7%(県平均90・9%)だった。新たな事業や活性化策を講じようにも、財政がそれを許さない状況だ。ならば、それを打開するために必要なものは知恵と連帯ではないか。

 日南を代表する伝統的観光地の飫肥では、まちなみ再生の取り組みが本格化している。昨年末、飫肥城由緒施設の指定管理を巡る亀裂が表面化したが、それを引きずっている場合ではない。南郷ではカツオ一本釣り漁の文化を生かした地域振興の模索が続く。日本農業遺産への登録審査は本年度落選したものの、再チャレンジする方針という。北郷では東九州自動車道とリンクした「道の駅北郷(仮称)」が22年開業に向けて動きだした。最大8億円の総事業費を投じる北郷地区浮揚の切り札だ。

 これらは各地域の特色と強みを生かした事業であり、これからが本番。このほか市役所新庁舎建て替えの大型事業も待ち構える。財政難の折、いずれも行政と市民がアイデアを出し合い、手を携えて進めていくことが大事だろう。

 「三本の矢」の志に立ち返り、日南の新たな未来図を描くことが求められる一年となりそうだ。

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