ホーム 社説

政治展望

2019年1月8日
◆最長政権の是非が問われる◆

 2019年は、12年に1度重なる4月の統一地方選と夏の参院選、4~5月の天皇陛下の退位と新天皇の即位、10月の消費税率引き上げと重要な節目が続く一年となる。安倍晋三首相の在職日数は11月に戦前の桂太郎氏を抜いて歴代最長となる。だが後世に残る業績を上げたとは言いがたい。21年9月までの任期をにらみ政権のレガシー(政治的遺産)づくりに取り組むことになるだろう。

領土交渉で成果狙う

 最大の関門は参院選だ。7年目に入った「1強体制」は、国会軽視や官僚組織の劣化などの弊害が指摘される。歴代最長を視野に入れる政権をどう評価するのか。参院選は、その是非が問われる。

 立憲民主党など野党は議席増を目指し、衆院選につなげる構えだ。32の改選1人区で候補者を一本化する方針だが調整は遅れている。立民は比例代表や改選複数区では「野党各党が切磋琢磨(せっさたくま)すべきだ」と調整に否定的で、国民民主党や共産党との連携が焦点となる。

 安倍政権は参院選に向けて成果づくりに力を注ぐだろう。「戦後外交の総決算」を掲げる首相は年頭の記者会見でロシアとの平和条約締結・北方領土返還交渉に意欲を表明、「戦後70年以上残されてきた課題に終止符を打つ決意をプーチン大統領と共有した」と強調した。1月下旬に訪ロして前進を図り、参院選直前に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会合の際の大統領との会談で成果を打ち出したい算段とみられる。

 領土交渉が前進すれば確かにレガシーとなる。だが首相は4島一括返還の方針を転換し、2島先行での交渉にかじを切っている。それで国民の理解が得られるのか。

参院選が改憲岐路に

 レガシーとして目指すもう一つの課題は憲法改正だ。首相は20年の改正憲法の施行を目指すと表明。首相は年頭会見で「国会で活発な議論を重ねるのが国会議員の責務だ」とした。衆参両院で改憲発議に必要な「3分の2以上」の議席を占める現体制の間に国会発議にこぎ着けたい考えだろう。

 だが天皇代替わりの行事はつつがなく進める必要があり、その前に与野党対立の改憲論議を行うのは困難ではないか。参院選で改憲勢力が3分の2以上の議席を維持すれば、改憲に向けて自民党が主導権を握る。逆に下回れば議論は止まる。極めて重要な選挙だ。

 消費税率の10%への引き上げは10月1日に予定される。財政再建は深刻な課題だが、増税に消極的とされる首相が予定通り税率を引き上げるのか疑念は消えない。首相は「衆参同日選は頭の片隅にもない」と否定したが、レガシーづくりに向けた政権基盤の再強化のために衆院解散を模索する可能性も見極める必要がある。

 揺れ動く国際社会、不透明さを増す国際経済に日本はどう対処するのか。日米同盟や沖縄の米軍基地問題も含め、戦略的な外交の真価が問われる年にもなる。

このほかの記事

過去の記事(月別)