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株価2万円割れ

2018年12月27日
◆世界経済が減速する警告だ◆

 東京株式市場の日経平均株価(225種)が急落、節目とされた2万円を割り込んだ。米株価の大幅下落や経済政策を巡るトランプ大統領の迷走から、売りが売りを呼ぶ展開になった。いたずらに危機感をあおる必要はないが、米欧での金融緩和縮小や「米中貿易戦争」などによる世界経済の減速を警告する市場のメッセージと捉え、政策運営、企業経営に細心の注意を心掛けたい。

気に掛かる円高傾向

 株価はバブル崩壊後の最高値を付けた10月2日終値以降、多少の上下動はあったものの、下落基調をたどってきた。好調な企業業績が続く中でも、じりじりと下がってきたのは、何か決定的な下落要因があるわけではないにしても、市場が経済の潮目が変わる兆しを感じ取って推移してきたということかもしれない。

 25日は、こうした弱い地合を米市場の乱調が直撃した格好で、輸出関連株が売り込まれて下げ幅を拡大、1000円超下落した。上海株も売り込まれ、アジア市場は大荒れになった。東京市場でややパニック的な相場になったのは心理的な防衛ラインだった2万円を下回る展開を見て、投資家が損をできるだけ縮小しようと売り急いだことも影響したのだろう。

 米国の市場が落ち着きを取り戻せば、東京市場も小康状態に復帰するだろうが、為替相場が円高に振れていることは気に掛かる。一時的な動きの可能性もあるが、ここにきて円相場の動向が変わる可能性が浮上している。米国の金融政策の影響で円買い圧力が増大するとの見方が増えてきたのだ。

 米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は、景気の先行きに不透明感が出てきたため、当初見込まれた利上げペースを緩める可能性を示唆。このため米長期金利が下がり、日米金利差が縮小している。米国の金利が今後も日本の金利より高い状態が続くと市場がみるなら、マネーは米ドルに向かうが、そうでない可能性が出てくると円が買われやすい。

米中貿易戦争も懸念

 「米中貿易戦争」は米国が中国に対して追加関税を猶予する期限が3月1日に来る。それまでに、米側が満足できる対策を中国が打ち出せないようなら、混乱はさらに拡大する。英国の欧州連合(EU)離脱交渉も見通せない。いずれも、その影響は当該国や地域にとどまらない。下落基調の株価には、世界経済が直面している状況が反映されていると見るべきだ。今後、さらに下落基調を強めるようなら要警戒だ。

 東京市場では大規模金融緩和の一環として日銀が上場投資信託(ETF)を購入し、それが事実上、株価の買い支えの役割を果たしてきた。2018年に日銀が買い入れたETFは6兆円超だ。こうした中での急落だったことは深刻に考える必要がある。年内の取引は28日まで。例年にない緊迫した大納会を迎えることになる。

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