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河野氏3選

2018年12月24日
◆地元愛と独自色で「志」示せ◆

 これは政治家と県民が真剣勝負をした結果だろうか。残念ながら、否としか言いようがない。任期満了に伴う県知事選は23日、投開票され、現職の河野俊嗣氏が共産党新人の松本隆氏に大差をつけ3選した。最大の焦点となったのは投票率だったが、ふたを開けると県知事選で過去最低の33・90%。オール与党体制の現職と共産推薦新人による一騎打ちという構図で選択肢が少なかったため、争点が非常に見えにくく、選挙戦終盤まで盛り上がらなかった。

揺らぐ地域民主主義

 民主主義とは異なる意見を持つ多様な人々が議論を重ね、共に暮らすための道筋を築くために編み出された政治システムのはずだ。しかし、今回のような低投票率を目の当たりにすると、私たちの足元から土台が揺らいでいるのではないかと強い危機感を覚える。「われ関せず」の姿勢では地域の民主主義は存続しないことをあらためて肝に銘じたい。

 平成以降の県知事選投票率は40%台から徐々に上昇し、官製談合事件後の出直し選で東国原英夫氏が当選した2007年に64・85%を記録。河野氏が初当選した10年は40・82%に急落し、14年も44・74%と伸び悩んだ。なぜ投票率が低落したままなのか。近くにあるべき地方政治がなぜ遠いのか。今後、地方自治を弱体化させないためにも検証が欠かせない。

 棄権票には現職への声なき信任票のほか、「結果は見えている」という諦めムード、「現職に大きな失政もないから」という消極的容認、現職に対する「不満」票が一定程度含まれていると考えるべきだ。意思を表明しなかった60万人余りの有権者の思いを丁寧にすくい上げることが重要になる。

中山間地の維持喫緊

 10年の初当選後、口蹄疫や新燃岳噴火からの復興に力を尽くした河野氏だが、県政運営は安全運転に徹してきたかに映る。これまでの2期8年で県内くまなく歩き、県民と意見を交わしてきた河野氏だ。現場ならではの声と感性を糧に、3期目こそ独自カラーを前面に打ち出してほしい。

 人口減少と過疎化が進む中山間地の維持は喫緊だ。移動手段の確保、農林漁業など産業振興、医療体制の充実など地方が生き残るための課題は山ほどある。後追い型の施策でなく、全国に先駆けモデルケースを蓄積することが求められる。都市部との格差が広がり、県全体でも雇用や賃金、交通インフラ、産業育成、若者流出などの問題も正念場だ。

 どうすればこの宮崎をより住みよくできるか。政治の手が行き届いていない場所や人を見逃さず、「このままではいけない」と熱情ある言葉で県民に投げ掛けてほしい。現状への危機感を県民と共有することで、地域づくり、地方自治意識の醸成につながる。河野氏の政治家としての地元愛と夢と理念、それらを実践する強い志を県民は待っている。

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