ホーム 社説

パリ協定ルール採択

2018年12月20日
◆温暖化対策の覚悟問われる◆

 ポーランドでの国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)は、2020年に始まるパリ協定の実施ルールを採択した。先進国と発展途上国に共通の厳格なルールの下で温室効果ガスの排出削減を進めることになり、「歴史的」といわれた協定実施への準備が整った意義は大きい。

 過去に例のないような気象災害の多発や生態系の異常など、温暖化のリスクが鮮明になる中、これから各国が温室効果ガスの排出削減にどれだけ真剣に取り組めるか、その覚悟が問われる。

削減目標の見直しを

 先進国の一員として、日本も一層の排出削減と発展途上国支援の強化に取り組む必要がある。実施ルールの採択によって行動の枠組みはできたが、中身ははなはだ心もとない。各国がパリ協定の下で約束した排出削減が完全に実施されても「産業革命以来の気温上昇を2度より十分低くし、1・5度にするよう努力する」との協定の目標達成には不十分だ。

 温暖化の大きな被害を防ぐには、世界の温室効果ガスの排出量を一刻も早く減少に向かわせ、今世紀半ばにも実質的な排出量をゼロにしなければならないが、世界の排出量は増加傾向にある。このままでは今世紀末の気温上昇は産業革命前より3~5度になってしまうとされている。

 このためCOP24では、ルールの交渉とともに、各国の削減目標達成に向けた具体的な議論を加速するための対話も重要なテーマとなった。だが、この点で進展は少なかった。各国は協定が動きだす20年を待つことなく、自国の削減目標を見直し、可能性を探る作業を始めなければならない。

経済活動の変革必要

 重要なのは、パリ協定の目標達成のために許容できる排出量には限りがあるという事実だ。社会は健全な地球環境がなければ成り立たないのだから、経済活動を地球環境の限界に配慮したものに変えてゆかねばならない。これがパリ協定や、協定と同じ15年に採択された国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」のメッセージだ。

 COP24の合意を、現在の経済の姿を根本から問い直し、協定が求める「脱炭素社会」に向けた変革を進める契機としなければならない。温暖化の脅威に立ち向かう日本政府の覚悟が最初に問われるのが来年6月に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会合だ。

 政府はそれまでに、パリ協定で策定が義務づけられている温暖化対策の長期戦略をまとめることにしている。炭素税の拡大や排出量取引など二酸化炭素の排出に「価格付け」をするカーボンプライシングと呼ばれる政策の導入を打ち出すなど、脱炭素社会づくりに向け、経済、社会活動の大変革を目指す姿勢を明確にするべきだ。G20の議長国として、発展途上国の温暖化対策を支援するための資金面や技術面での協力を拡大させることも重要だ。

このほかの記事

過去の記事(月別)