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いじめ件数最多

2018年11月9日
◆情報共有し深刻化防ぎたい◆

 文部科学省の問題行動・不登校調査で、全国の学校が2017年度に把握したいじめが過去最多を更新した。前年度より9万件余り増え、41万件を超えた。全体の件数を押し上げたのは小学1~5年で、全学年で前年度より1万件以上増えた。本県のいじめ認知件数は1万3680件で、千人当たり108・2件と全国最多だった。11年に大津市の中2男子が自殺したのをきっかけにいじめ防止対策推進法が施行され、文科省は軽微な事案も認知するよう指導。学校現場で積極的な認知が広がったとみられる。

対応難しい重大事態

 子どもの心身に深いダメージが生じたり、長期欠席を余儀なくされたりしたときなど、いじめ防止法が定義する「重大事態」は前年度から78件増え、474件(本県0件)。骨折など心身への大きな被害が191件、年間30日以上の不登校が332件あり、両方に該当する事例もあった。自殺は250人で、うち10人がいじめに遭っていた。積極認知を進めても、深刻化に歯止めをかけることができない難しさが浮かび上がった。

 背景を探ると、現場の負担が増し、手の回らないところで深刻化が進むとの声がある。また、いじめ問題にはチームでの対応が重要になるが、教員の年齢構成が偏りチームのリーダーになれる経験豊富な中堅教員が少ないという実態もある。さらにインターネット上の会員制交流サイト(SNS)での誹謗(ひぼう)中傷や嫌がらせが増えており、学校の対応には限界がある。

 どうやって子どもたちが発するSOSをすくい上げるか。学校と家庭との間で、より一層の情報共有を進める必要がある。子どもが見せるわずかな兆しを見逃さないための努力を、両者が丹念に積み上げていくことが求められる。

家族の思いに応えよ

 さまざまな理由で不登校となった小中学生は前年度より1万348人増の14万4031人。小1~中3の全学年で増えた。

 いじめの「重大事態」を巡っては、子どもや家族側と、学校・教育委員会側の捉え方が対立する例が後を絶たない。

 例えば、いじめを訴え16年に自殺した青森市の中2女子について、市教委の審議会は初め「思春期うつ」と認定。家族の反発でメンバーを入れ替え、18年の最終報告書では「死ね」「きもい」などSNS上の暴言などが約20件あり、「自殺の主要な原因はいじめ」と結論付けた。最近も、東京電力福島第1原発事故で5年前に山梨県に避難した女子中学生が昨年自殺を図り、家族はいじめ被害を訴えたが、市教委が重大事態と認定しなかったことが明らかになった。

 いじめ自殺では、なぜ子どもが自ら命を絶たなければならなかったか、事実を知りたいとの家族の思いに学校などが十分に応えていないケースが見受けられる。事実を丁寧に積み上げ、情報提供に努めることを心掛けたい。

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