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日印首脳会談

2018年11月1日
◆核廃絶を強く働き掛けたい◆

 安倍晋三首相はインドのモディ首相との首脳会談で、外務・防衛閣僚協議(2プラス2)を初開催するなど安全保障や経済で連携を強化することで合意した。日印両国は近年、中国に対抗して関係を緊密化させてきたが、安倍首相は先週の日中首脳会談で「競争から協調へ」と関係改善の新たな段階に移ることを表明したばかりだ。今回の相次ぐ首脳会談を、米国追従と中国けん制の路線から一歩踏み出して自立した外交の幅を広げる契機としたい。

中国封じ込めの狙い

 中国に次ぐ約13億の人口を擁するインドは経済成長が著しく、政治面では「世界最大の民主主義国家」と呼ばれる。日印首脳は2005年以降、ほぼ毎年交互に相手国を訪問し、経済や外交、安保の協力を進めている。日本の首相の公式訪問が約7年ぶりだった中国とは対照的だ。

 インドは15年に初の高速鉄道計画で日本の新幹線方式の導入を決めた。16年には日本からの原発輸出に道を開く原子力協定に署名した。米印両海軍と海上自衛隊の共同訓練も実施している。

 今回の日印首脳会談は、海洋進出を強める中国の封じ込めをにらみ、日米印の協力推進を確認する狙いがあるが、日中関係改善の努力とどう折り合いを付けるかが問われる。新たなアジア外交の構築に知恵を絞らなければならない。

 安倍首相はモディ首相を山梨県鳴沢村の別荘に外国要人として初めて招き、厚遇ぶりを見せた。これには4月の中印首脳会談の友好演出を思い起こした。昨年6月に中印国境で軍事的緊張が発生、悪化した中印関係の修復のためモディ首相が今年4月に訪中した際、習近平国家主席は湖北省武漢の湖畔を仲良く散歩した。

幅広い分野で協力を

 日本としては、インドが核拡散防止条約(NPT)未加盟の核保有国であることを忘れてはならない。1974年と98年に核実験を行い、国際社会で原子力関連の禁輸対象国だったが、原発ビジネスを優先した米国の方針転換に日本も追随し、原子力協定を結んだ。

 インドの核兵器を既成事実とするのは、被爆国として核廃絶を訴える日本の立場と相いれない。今後も包括的核実験禁止条約(CTBT)加盟などを粘り強く働き掛けるべきだ。

 経済協力の象徴となった高速鉄道は、モディ首相の地元グジャラート州を通る約500キロの路線で、日本の技術と円借款が支える。2022年の開業を目指しているが、用地買収に反対運動が起き、計画通り進むか予断を許さない。

 日印は医療や先端技術分野での協力も進める。安倍政権は日本の医療や介護システムを輸出する「アジア健康構想」を掲げる。医師の派遣を通じ、モディ政権が約5億人の貧困層を対象に発足させた医療保険制度を側面支援する計画だ。貧困対策、医療、環境など幅広い分野で協力を拡大したい。

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