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医学部入試不正

2018年10月30日
◆受験生らの不安解消を急げ◆

 文部科学省幹部の汚職事件をきっかけに東京医科大で発覚した医学部の入試不正が、他大学へ拡大する様相を見せている。文科省は全国81大学を対象とする緊急調査の中間報告で、複数の大学に不正の疑惑があることを明らかにし、女子や長期の浪人生に対する不利益な扱いなど「不適切な可能性が高い」とする四つの事例を示した。「調査中」を理由に大学名や校数は公表していないが、既に昭和大が不正を認め、順天堂大も文科省の指摘を受け第三者委員会を設置し検証・調査を進めている。

早期の自主的公表を

 東京医科大の第三者調査委は、今年と昨年の入試で本来合格していた女子55人を含む69人が不合格となった、と第1次調査報告書をまとめた。今年の入試で、不正の影響で不合格となった受験生50人に対し、同大学は来年4月の入学を認める方針を固めている。

 疑惑を持たれた大学はほかにもあり、文科省は自主的な公表を促す。募集要項で説明せず、合理的な理由もなく得点を操作するという理不尽な扱いがまかり通ってきた。医学部を目指す受験生のショックは大きい。入試の公平公正を確保する手だてを講じ、不安と混乱の解消を急ぐ必要がある。

 そのためにはまず大学の自主的な公表により、一連の入試不正の全体像が明らかにされなければならない。さらに徹底した検証に基づき、全ての大学で入試の公平性を担保する指針や情報開示の仕組みなどを整え、できるだけ早く提示することが求められる。

 文科省が不適切である可能性を指摘したのは▽書類審査で現役生のみに加点し、多浪生と差をつけた▽学力検査で得点が同等でも、面接で女子や多浪生を不利に扱った▽同窓生の子女ら特定の受験者を合格圏外でも合格させた▽補欠合格者への繰り上げ合格の連絡を成績順ではなく、特定の受験者を先にした-といった事例だ。

得点開示の検討必要

 さらに「疑惑を招きかねない事案」として、出願書類に保護者や家族の職業や出身校を記入させたり、補欠合格者の決定を学長や学部長ら一部の関係者に一任して公平な手続きを証明する記録を残していなかったりした五つの事例も挙げた。

 疑惑の震源となった東京医科大は医学部医学科で少なくとも2006年の入試から、医師数の確保を理由に妊娠や出産が予想される女子や3浪以上の男子を実質減点する得点操作をし、合格者数を抑制。今年と昨年の試験では同窓生の子など特定の受験生19人に不正に加点した。同窓生からの寄付を期待してのことだったとされる。

 入学者の選考基準は大学の自主性の最たるものといわれる。だが受験生の努力を無にしてしまうことは許されない。文科省は自主性を尊重する立場から大学名の公表は難しいとしているが、不合格者への得点開示を義務付けるなどの方策も検討する必要がある。

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