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免震データ改ざん

2018年10月27日
◆信頼回復へ問題点洗い出せ◆

 油圧機器メーカーのKYBと子会社による免震・制振装置データ改ざんが、全国の自治体やマンション住民を不安に陥れている。KYBは改ざんなどが判明した装置を使っている建物983件のうち所有者の了解が得られた建物名称88件を26日までに発表。国土交通省は、不正な装置が使われた建物でも震度7程度の地震で倒壊する恐れはないとしている。しかし、地震の際に設計通りの性能が働かず、建物への影響が想定よりも大きくなる可能性がある。地震が頻発する中、建物の安全性の信頼を損ねたKYBの責任は重大だ。

長期にわたり常態化

 改ざんが明らかになったのは油の粘性を利用して建物の揺れを少なくする装置の「オイルダンパー」。免震用と制振用の2種類ある。免震用は過去にKYBの装置を採用した全ての建物の約86%、制振用は約23%に当たる。自治体のほか、原発の関連施設、東京五輪・パラリンピックの競技会場にも設置されていたことが判明。改ざんは2003年1月ごろから行われてきたとみられる。

 05年に姉歯秀次元1級建築士による建物の構造計算書偽造が発覚。15年には、東洋ゴム工業の免震偽装、旭化成子会社のくい打ちデータ改ざんも起きた。「姉歯事件」は地方に波及し、建築基準法など関連法が改正され、構造計算書のダブルチェック、中間検査の義務化、罰則強化が新たに求められるきっかけになった。

 今回の改ざんは「姉歯事件」が世間を騒がしている最中に、平然と行われていたことになる。「姉歯事件」の教訓は全く生かされず、改ざんが長期にわたり常態化し、綿々と引き継がれてきた。法律の網をかいくぐるように、建物の安全性の担保が再構築されなかったことになる。

製造業で不正相次ぐ

 KYBによると、1995年の阪神大震災などをきっかけに需要が増大。2000年代から生産を強化した。少なくとも8人の検査員が口頭で不正を引き継ぎ、製品の性能をチェックする検査員は一時期、1人しかいなかった。そこには品質管理の軽視、データ管理のずさんさがうかがえる。同社は「検査に時間がかかったため」と説明。しかし、到底納得できない。周囲や上層部がなぜ察知できなかったのか、疑問が残る。

 土木建築機材などを手掛ける川金ホールディングスのグループ企業も、免震・制振装置の検査データを改ざんしていたと発表、不正が拡大している。学校や病院など26都道府県(本県除く)の計93件の建物に設置していた。

 日本の製造業で長期にわたる品質不正の発覚が相次ぎ、かつて世界に誇った「ものづくり日本」の信頼は損なわれつつある。「利益第一」「異論を挟めない空気」の呪縛はなかったのか。組織ぐるみの関与がなかったか。徹底的に問題点を洗い出し、うみを出し切るべきだ。

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