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引きこもり高年齢化

2018年10月20日
◆第三者の支援につなげたい◆

 引きこもりの高年齢化が深刻になり、困窮する事例が注目されている。これまではいじめや不登校などが原因の若者の問題と考えられてきたが、中高年層の存在が顕在化してきた。支援を求められないまま長期化したり、一度就職したものの離職して引きこもるようになったりするケースだ。「80歳代の親と50歳代の子」を意味する「8050問題」と呼ばれる。親が高齢になり収入が途絶えた、病気や介護の問題が出てきた-などさまざまな問題を抱え、親子で共倒れになるリスクがある。親の年金を頼りに生活するケースも多く、親亡き後の不安がのしかかる。

県が初めて実態調査

 引きこもりの全国調査は2010、15年の2度実施されたが、いずれも対象は15~39歳に限定されていた。「仕事や学校に行かず、半年以上、家族以外とほとんど交流せずに自宅にいる人」は、15年時点で推計約54万人。引きこもりの期間は「7年以上」が34・7%と最多で10年調査より2倍超になり、長期化が進んでいた。

 内閣府は本年度、40~59歳を対象にした初の実態調査を行う。全国の5千世帯を抽出し、調査員が自宅を訪ねる予定だ。本県ではこれまで全国調査などを基に約4300人に上ると推計。より実態を把握するため、本年度、初めて独自のアンケート調査を実施する。

 県内約2600人の民生児童委員を介し、本人の年齢や家族構成、引きこもりの期間などを尋ねる。対象年齢は15~65歳と幅広い。全国では17年9月時点で21都道府県が独自に引きこもりの調査をしており、本県の動きは遅きに失した感は否めないが、実効性のある施策を展開するために貴重な基礎資料になるだろう。

自立の形はさまざま

 01年に発足した引きこもりの親の会「宮崎県楠の会」の植田美紀子代表も高齢化を懸念する。「発足から時間がたち、親の平均年齢は70代以上になった」。引きこもりの長期化に伴い、解決にも時間がかかることを物語る。しかし、「親が子どものことを本当に理解すると、声掛けや関わり方が少しずつ変わっていく。子どもが安心できる場所をつくるために継続して学ぶ場は必要」と植田代表。自立というゴールの形はさまざまだが、息の長い支援が求められる。

 県ひきこもり地域支援センターに17年度寄せられた相談は延べ848件。中には引きこもり歴20年と長期間に及ぶ人もおり、村山光子主査は「よくここまで家族で頑張ってこられた、と心から思うケースもしばしば」と話す。

 他人と接する機会が極端に少なく、外から見えにくいため支援の糸口を探すのは難しい。それでも、介護や病気、経済的な問題などがきっかけになり第三者の支援につながることができれば、閉じていた家族に何らかの変化が訪れる。家族が“開く”きっかけをつくり、“開いた”ときに支える地域の受け皿の充足を急ぎたい。

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