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政府と沖縄県

2018年10月17日
◆移設妥当か対話通じ検証を◆

 沖縄県の玉城デニー新知事が就任後初めて安倍晋三首相、菅義偉官房長官と会談し、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する考えを改めて伝えた。これに対して首相は「政府の立場は変わらない」と述べ、会談は平行線に終わった。政府は8月に辺野古沖を埋め立てる土砂の投入に踏み切る予定だったが、沖縄県が埋め立て承認を撤回し、工事は止まっている。政府は法的な対抗措置を検討、法廷での対決も辞さない構えだ。

 玉城氏は16日、就任後初めての県議会で所信を述べ、辺野古への移設に関し「新基地建設に反対し、普天間飛行場の一日も早い閉鎖・返還を政府に強く求める」と重ねて強調した。

最多得票で会談実現

 移設に反対して政府と対峙(たいじ)した翁長雄志前知事の遺志を継ぐと知事選で訴えた玉城氏が「今回の選挙で民意が示された」と指摘した選挙結果を考えれば、基地建設は強行できないはずだ。

 玉城氏は県と政府、米軍の三者による協議会の設置も求めた。北朝鮮の非核化方針の表明や米朝首脳会談の実現で、北東アジアの安全保障情勢は大きく変わる可能性がある。在日米軍の任務や配置の見直しにもつながる動きだ。安保環境が変化する中で、約20年も前に決まった辺野古への基地建設計画が本当に妥当なのか。対話を通じて再検証すべきだ。

 翁長前知事が就任した4年前、首相と菅氏は約4カ月間も会談を拒否した。就任したばかりの新知事と早期に会ったのは、同県知事選で過去最多の得票だった玉城氏を支持する県民の声に、丁寧な対応が必要だと考えたのだろう。

 首相は会談で「沖縄に米軍基地が集中する現状は是認できない」と述べた。しかし「辺野古移設が唯一の解決策」という方針は変えなかった。

グアム移転絡めるな

 玉城氏は県知事選で安倍政権が全面的に支援した佐喜真淳・前宜野湾市長らを破った。両氏が共通して訴えたのは沖縄の経済振興や、在日米軍の法的地位を定めた日米地位協定の抜本的見直しなどの課題だ。政府、与党はこれらに真正面から取り組む責務がある。

 菅氏は知事選後、沖縄の米海兵隊のグアム移転計画について「辺野古移設と結果的にリンクしている」と、移設が実現しなければグアム移転も進まないとの認識を示した。だが日米両政府は2012年に移設とグアム移転は切り離すことで合意。沖縄に圧力をかけるような発言は看過できない。

 安保政策は国の専管事項だとしても、基地運用には地元の理解が欠かせない。だが沖縄の声は切り捨てられてきた。翁長氏の県民葬では「県民の気持ちに寄り添う」という首相のメッセージを代読した菅氏に対し、参列者から「うそつき」などと厳しい怒声が上がった。県民の思いを安倍政権は真剣に受け止めるべきだ。

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