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巨額の五輪経費

2018年10月12日
◆分担する3者が説明尽くせ◆

 会計検査院が2020年東京五輪・パラリンピックの開催準備に関わる国の支出が13~17年度の5年間で総額約8011億円に上ったとする報告書をまとめ、国会に提出した。驚くような額だ。国としての取り組みを総括する内閣官房の大会推進本部は「検査院は関連支出の対象を広く解釈しすぎだ」と反発する。「関連」をより限定的に捉えた支出は過去2年間に限れば788億円にとどまり、5年間で8千億円を超えるような規模にはならないようだが、大切な税金の使い道だ。国は丁寧に説明しなければならない。

定義難しい関連支出

 大会経費は、民間資金に加え、国際オリンピック委員会(IOC)からの財政支援で運営する大会組織委員会と、東京都、国の3者が分担する。東京都と組織委がいずれも約6千億円、国は新国立競技場の整備費とパラ開催費の合わせて約1500億円を負担する予算が組まれている。総額1兆3500億円だ。

 しかし、サイバー攻撃、テロ対策など、国でなければ担えない責務があり、これらについては大会運営予算外の支出となる。これは世界のどの都市で大会を開催しても変わらない。検査院は今回、そうした国による経費負担のうち、本来は大会運営関連として計上すべきだと考えられる支出があったと指摘した。

 新国立競技場の建設用地内にあった施設の移転費用、さらに新国立競技場の通信・セキュリティー関連機器の整備費は、施設整備と結び付きが強いと判断。今回の報告書からは、国が玉虫色の解釈を持ち出し、経費の本質を隠しているのではないかと検査院がうたぐった様子が見て取れる。

圧縮迫られる組織委

 検査院は各省庁の申告に基づいて五輪関連支出に当たるかどうかを判断した。「五輪」を持ち出せば予算が通りやすいと考えて盛り込まれた事業があったからこそ、その足し算で8011億円という数字が出てきたのではないか。

 対外的な予算の説明は大会組織委が担う。IOCから予算圧縮を求められている組織委は、自身で責任を負う6千億円だけでなく、国と東京都の負担分を加えた1兆3500億円についても圧縮に努めると、国際的に表明している。

 先のIOC理事会では、現行予算の枠外だが、2200億円余りを削減したと説明した。大会準備と結び付きが強い経費でも、結び付きが弱いものであるかのように扱い、大会運営予算の外に押し出してしまうことができれば、それに越したことはないというのが本音だろう。

 今後は、国の経費負担についての説明は全て内閣官房の大会推進本部に任せるべきだ。五輪関連経費の定義付けそのものが難しいのだから、国と東京都、組織委の3者はそれぞれの責任範囲で国民と都民に説明するのが、無用な混同を避ける上で適切な対応だ。

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