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沖縄知事に玉城氏

2018年10月2日
◆8万票の重み 政権認識せよ◆

 翁長雄志氏の急逝に伴う沖縄県知事選は、翁長氏の後継として米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対を訴えた前衆院議員の玉城デニー氏が初当選を果たした。「政府との対話」を掲げ、安倍政権が全面的に支援した前宜野湾市長の佐喜真淳氏らを退けた。辺野古移設反対を明言する知事を再び選んだ県民の意思は明確と言える。

基地負担の軽減図れ

 安倍晋三首相は「選挙結果は真摯(しんし)に受け止める」と述べたが、菅義偉官房長官は「辺野古移設の方針は何ら変わらない」と強調した。民意に真正面から向き合う考えはないのか。政府と県が法廷闘争も含めて対立する事態は県民も望んでいない。辺野古移設の是非を再検討すべきだ。

 玉城氏は「辺野古に新基地を造らせないという翁長氏の遺志を継ぐ」と表明。沖縄県が8月に決めた辺野古沿岸部の埋め立て承認の撤回を維持する方針だ。さらに県議会に条例案が提出されている辺野古移設の賛否を問う県民投票も実施し、県民の意思を政府に突きつけていく考えだろう。

 私たちが考えるべきなのは、移設の是非を巡る選択を沖縄県民に問い続ける現状でいいのかという問題だ。かつて本土に置かれた米軍基地は地域の反対運動に遭って沖縄に移され、今では在日米軍専用施設の約70%が沖縄に集中する。日米同盟を維持するのであれば、全国で基地を負担し、その縮小を目指すべきではないか。

 知事選では菅官房長官らが何度も応援に入り、政府、与党が一体となって佐喜真氏を支援した。公明党も推薦に回り、組織的な選挙戦を展開した。それでも玉城氏は同県知事選では過去最多となる約39万票を得票した。佐喜真氏との約8万票の差は厳然としている。

「アメとムチ」に不信

 共同通信が県知事選の期間中に実施した世論調査では、沖縄県民の安倍内閣支持率は27%にとどまり、不支持率が59%に上る。「安倍1強体制」と言われるが、政権の地方の基盤は揺らいでいる。

 沖縄県に関する課題も選挙戦で明確になった。一つ目は、普天間飛行場の早期の運用停止だ。安倍政権は仲井真弘多県政時代に普天間飛行場の2019年2月までの運用停止を約束している。佐喜真氏も選挙戦で早期返還を訴えた。

 二つ目は、日米地位協定の抜本改定だ。在日米軍の法的地位を定めた地位協定について、玉城氏とともに、佐喜真氏も「不平等だ」として改定を主張した。もはや、これまでの「運用の改善」という小手先の対応は許されない。

 三つ目は、経済振興策だ。両氏とも、県民所得の向上や子どもの貧困の解消を訴えた。これらは引き続き重要な県政課題になる。安倍政権は辺野古移設に反対すれば沖縄振興予算を減らすという「アメとムチ」の対応を取ってきた。その姿勢が県民の不信を深めていることを省みるべきだ。

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